ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

2018-01-01から1年間の記事一覧

2018年3月の仏像拝観リスト

2018年3月は仏像リンクさんで一日千葉へ。 その後、神奈川と静岡で、それぞれ半日かけて仏像めぐり。 まったくの偶然ではあったが、静岡に行く前日に牧野隆夫さんから『伊豆の仏像修復記』が届いた。クラウドファンディングのリターンである(牧野隆夫さんの…

円福寺の重文阿弥陀如来坐像と県指定文化財の阿弥陀三尊立像 ~ご本尊がきれいだと思ったら、西村公朝さんが修復されていたのです~(東茨城郡茨城町)

円福寺(東茨城郡茨城町)というお寺はクラブツーリズムさんに教えてもらうまで知らなかった。寺伝では、弘仁3年(812年)創建。天台宗のお寺である。 <本尊阿弥陀三尊立像(県指定文化財)> 本堂の内陣奥におられるご本尊阿弥陀三尊立像は、1307年造立。…

雨引観音さまに卒倒寸前の私(茨城県桜川市)

茨城県桜川市 楽法寺(坂東24番、雨引観音) 2018年4月8日。クラブツーリズムの特別拝観で、楽法寺の秘仏本尊、通称、雨引観音さまにお会いできた。 普段は収蔵庫に安置され、秘仏となっている観音さまである。2014年にほぼ通年にわたり、本堂に移され開帳さ…

笠間の楞厳寺の千手観音立像(茨城県笠間の六体仏)

笠間市 楞厳寺(りょうごんじ)・千手観音立像 笠間六体仏の一つ。 重要文化財。 建長4年(1252)年造立。 像高207.5cm。檜材の寄木造り。漆箔。玉眼嵌入。髻が高く、衣紋の襞が複雑で、慶派の作風を示す。 (写真は笠間市のサイトより)ふかふかの苔のカーペ…

笠間の弥勒仏立像(茨城県笠間の六体仏の一つ)

茨城県茨城県 笠間市 弥勒教会・弥勒仏立像 鎌倉幕府の御家人だった宇都宮氏の一族、笠間時朝(かさまときとも)が造立した「笠間六体仏」のうち、現存する三つの像の一つ。 重要文化財。1247年造立。像高175センチ。寄木造り。漆箔。玉願嵌入。台座と後背も…

伊豆の平安仏と"牧野仏"(龍音寺、国清寺、かんなみほとけの里)

1) 沼津市大平の龍音寺 2) 伊豆の国市 国清寺仏殿 3) 伊豆の国市 国清寺毘沙門堂の仁王像 4) 函南町 かんなみほとけの里美術館 4-1)阿弥陀如来坐像と観音勢至菩薩立像(実慶) 4-2) 薬師如来坐像(平安) 4-3) その他の仏像(牧野仏) (後日談)山本勉先生…

千祥寺所有の如来形像(千葉県館山市立博物館にて)

館山市立博物館拝観日=2018年3月3日千祥寺所蔵の木造如来形坐像 千葉県指定文化財 10世紀末、73センチ、ヒノキの一木造り 木造如来形坐像は、薄く閉じた、つり上がり気味の両目が印象的。口元は小さく閉じる。一宮の安房神社に伝来か。 博物館預かりとなっ…

千葉県富津市 東明寺の薬師如来と十二神将

富津市 東明寺参拝日=2018年3月3日東明寺は718年の創建と伝わる。以前は海岸に位置して東足寺と称したが、1742年の大津波の後に現在地に移転したという。内房線上総湊駅から1キロほど。浦賀水道の向こうは三浦半島という地域に立つ、真言宗智山派のお寺で…

千葉市市原市・日光寺 桜の巨木の聖観音立像

千葉県市原市 日光寺 木造聖観音立像 県指定 像高3.32メートル 彫眼、桜、一木造。大きな内ぐりがあり、観音像の背面より覗くことができる。両腕は肩ではぎ付けし、左肘から先をさらにはぎ付ける。 発見当初は平安末期(12世紀後期)とされていたが、昭和61…

西尾市吉良町、金蓮寺の阿弥陀三尊(脇侍さまはいつの作?)

<序文>この記事は、来迎阿弥陀三尊にお会いした感動を叫ぼうと書き始めた筆者が、書いてる途中で「制作年代に二つの説がある」ことに気づき、あたふたする様子を書き残したものです。しばらく下書きフォルダーに放置していた文章を書き直し、引用文書の画…

2018年2月の仏像拝観リスト

2018年2月16日。ついに葛井寺の千手観音さまにお会いできました。天平仏はなぜにこれほど初々しいのでしょう! 胸や腕や背中が若々しく、とにかく美しい!! もう千本の腕がなくても美しすぎました。合掌手は希望をつかもうとしていました(そのように見えま…

海老名市・龍峰寺の長身かつ清水寺式の千手観音立像

神奈川県西部、海老名駅から徒歩15分ほど。巨大なすべり台のある清水寺公園に隣接して、龍峰寺(りゅうほうじ)はあります。1340年、開山円光大照禅師によって創建された、臨済宗建長寺派のお寺です。 このお寺の千手観音さまにお会いしてきました。毎年1月…

島根県出雲市・万福寺(大寺薬師)さま~展覧会の留守を守る四菩薩像と優しい世話役さま~

参拝記録2017年11月3日「島根の仏像」展に4時間半ほど滞在したあと、電車で東に移動し、出雲市・万福寺の大寺薬師収蔵庫へ。 展覧会には、この万福寺から重文の薬師如来坐像と四天王像がお出ましでした。スーパー戦隊ゴレンジャーのような迫力満点の5つのお…

豊橋の普門寺と八角裳懸座の阿弥陀さま

八角裳懸座(はっかくもかけざ)の阿弥陀さまを調べています。どこのお寺におられるのかご存知でしたら教えてください。<愛知県豊橋市・普門寺の阿弥陀如来坐像>八角裳懸座が気になったきっかけは、先週、愛知県豊橋の普門寺をお参りしたこと。普門寺の収…

愛知県西尾市・海蔵寺の阿弥陀如来坐像

愛知県西尾市吉良(きら)町。阿弥陀様を訪ねて3か寺めぐりました。 きらの阿弥陀さま その1 海蔵寺(浄土宗西山深草派、愛知県西尾市吉良町) 阿弥陀如来坐像(県指定) 鎌倉初期 95.5センチ、一木割矧造、彫眼 お寺の方にご挨拶し、本堂へ。 外陣より拝観…

2018年1月の仏像拝観リスト

2018年は都内の元旦仏からスタートし、そのまま鎌倉へ。宝戒寺の地蔵尊と梵天帝釈天さまにひたすら見とれました。川崎の影向寺では、収蔵庫の係のおじさまがおられず、心配しています。ここ数年、毎年お正月にお参りしているのですが、いつも同じおじさまが…

名古屋・栄国寺の丈六阿弥陀さま~悲しいから優しい~

名古屋市中区の栄国寺。 こちらのご本尊である丈六の阿弥陀如来さまを絶賛したいのだが、それにはまず、江戸幕府発足当初のキリシタン弾圧からひも解かなければならない。 栄国寺は処刑場の跡地に立つ。 17世紀半ばには、罪人に混ざって、少なくともキリシタ…

「仁和寺と御室派のみほとけ」展~優しい憤怒の降三世明王と深沙大将~

上野で開催中の仁和寺展では、福井県小浜市の明通寺さまから降三世明王立像と深沙大将立像がお出ましです。降三世明王立像 平安時代11世紀 252.4センチ、一木造り、重要文化財 (写真は明通寺さまのサイトより)深沙大将立像 平安時代11世紀 256.6センチ、一…

「仁和寺と御室派のみほとけ」展~ああ、千手観音さま!~

「仁和寺と御室派のみほとけ~天平と真言密教の名宝~」展(東京国立博物館)会期最初の土曜日となる1月20日に行ってきました。平安時代の仏像が多く出展されており、ゆっくりと拝観できました。 木彫の優しいみほとけを前にすると、自分の中の嫌な塊が溶け…

牧野隆夫さんのクラウドファンディング(ぜひご検討ください!)

尊敬する仏像修復の牧野隆夫さんのクラウドファンディングのサイトをシェアします。 camp-fire.jp 地方の古仏を訪ねますと、過疎化や高齢化で仏像をお守りするのが難しくなっているという話をよく聞きます。仏像をめぐりながら、日本の未来を案じることもし…

静岡市井川の中野観音堂~山里の観音さまたち~

(2015年9月に井川の中野観音堂を参拝したときの記録です) 静岡の山里にある小さなお堂で、こんなにも無垢な観音さまたちにお会いした。白洲正子が観音さまをたたえる言葉に「うぶ」という言葉がある。厨子が開かれた瞬間、その言葉が思い浮かんだ。夢中で…

快慶の伝説が残る二つの「おいわけ」阿弥陀さま(仙台の笈分如来と京都の負別如来)

1)仙台に残る笈分(おいわけ)如来さま 2) 京都・蓮光寺の負別(おいわけ)如来さま 3) <追記 学術論文も> 快慶の伝説が残る二つの阿弥陀如来立像が仙台と京都に残されています。 2016年11月の月末に仙台へ、その後、2017年4月に京都に行き、この二つの阿…

2017年の展覧会

2017年の展覧会を振り返ってみました。 1 古代出雲歴史博物館「島根の仏像―平安時代のほとけ・人・祈り―」2 大阪市立美術館「木×仏像」展3 奈良国立博物館「快慶」展4 あべのハルカス美術館「奈良西大寺」展5 奈良国立博物館「源信」展次点 兵庫県立歴史博物…

2017年12月の仏像拝観リスト

ついに東大寺法華堂の執金剛神像にお会いできました! 12月16日の東大寺は、何かの魔法のように不思議な雰囲気が満ちていました。 その日の深夜、春日大社若宮さまの遷幸の儀を見てきました。すべての電気か消された夜は思ったより明るかった。若宮さまが渡…

東大寺法華堂のご開帳に泣く!

2017年12月16日。ついに東大寺法華堂(三月堂)の執金剛神像にお会いできました! 東大寺は感動があふれています! 執金剛神様に泣く! 天平仏群を斜め後ろから拝める幸せ! 天平仏と慶派を結ぶDNA! 東大寺が好き! 【拝観情報】 おまけ情報(蛇足!) 執金…

2017年11月の仏像拝観リスト

11月はとにかくたくさんの仏像さまにお会いしすぎてしまい、その感動のすべてを表すことができずにいます。 (↑兵庫県赤穂市の普門寺) まず、たった1枚の出展リスト(「島根の仏像」展)が素晴らしすぎて、姫路のオフ会の前日にぶつけて急きょ出雲まで行き…

法然上人二十五霊場を成満しました

2017. 10. 14の日記より法然上人二十五霊場をやっと成満しました。 安堵しております! 最後にお参りしたのが、比叡山黒谷の青龍寺でした。法然さまが18歳から43歳まで修行された聖地です。比叡山でもここまで来ると他に参拝者がおらず、ご住職としばらくお…

2017年10月の仏像拝観リスト

2017年10月は二十五菩薩来迎会のため会津へ。 また、法然巡礼の締めくくりとして、滋賀・比叡山の黒谷青龍寺へ。法然上人二十五霊場を比叡山で締めくくることができ、感動もひとしおでした。最後にとてもよいお参りができ、仏友さんやお寺さまに感謝しきれま…

2017年9月の仏像拝観リスト

秋分の日に、巾着田の曼珠沙華を見てから、聖天院と高麗神社へ。武蔵国高麗郡への日帰り旅。お散歩と歴史の勉強で、疲れきった心身を立て直しました。日本と朝鮮半島の古代史を勉強し直したい。藝大美術館の「シルクロード特別企画展 素心伝心 クローン文化…

2017年8月の仏像拝観リスト

2017年8月のハイライトは、観音さまの千日参りのご開帳で、岐阜の慈恩寺、三重県桑名の勧学寺、鈴鹿の林光寺の千手観音をお参りできたこと。鈴鹿の林光寺は毎年8月9日の深夜のみのご開帳。 翌日、滋賀県草津市まで移動し、宝光寺の薬師如来さまのご開帳へ。…