ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

島根県出雲市・万福寺(大寺薬師)さま~展覧会の留守を守る四菩薩像と優しい世話役さま~

参拝記録2017年11月3日

「島根の仏像」展に4時間半ほど滞在したあと、電車で東に移動し、出雲市・万福寺の大寺薬師収蔵庫へ。
展覧会には、この万福寺から重文の薬師如来坐像と四天王像がお出ましでした。スーパー戦隊ゴレンジャーのような迫力満点の5つのお像が出展中となると、収蔵庫はガラガラかと思ったのですが、じつはなんと、それ以外にも平安前期の重要文化財の菩薩立像が4躯もおられると聞きました。
もうこれは現地に行くしかない(!)と思い、収蔵庫でお留守番されている菩薩さまにお会いしてきました。
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(↑観音菩薩さま)
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(↑月光菩薩さま)
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(↑日光菩薩さま)

静謐な仏様の佇まい。私は特に、木の節が残る観音菩薩像に鳥肌が立ちました。平安前期の作だそうですので、手の形は後補かと思います。
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(堂内の向かって一番右にお立ちになられる観音菩薩さま。木の節が残っています。ご神木が来迎像になられたかのよう)

展覧会にお出ましのお像の場所には、パネル写真が置かれていました。卒業写真の撮影の日に欠席した人みたいで、微笑ましかったです。
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この収蔵庫は大寺薬師奉賛会が管理されており、拝観には事前にお願いする必要があります。私も事前に電話でお願いし、世話役の方に開けていただきました。世話役の方がお優しくて観音さまのようでした。
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大寺薬師奉讃会はご近所の各地区から、毎年役員が選ばれるのだそうです。役員の主な仕事は毎年4月に大寺薬師で開催されるお祭りの運営だそうです。今回ご案内くださったOさまは、「自宅がお寺から近いので、自分が拝観希望者への対応を行っている」とおっしゃっていました。いくら近いとはいえ、ランダムにやってくるであろう拝観希望者に個別に対応されるのはかなりのご苦労かと思いました。地域の方々にお守りされている無住のお寺は、こうした個人の方の尊い献身によって成り立つのだと再認識いたしました。

Oさまへの尊敬と感謝を申し上げます。ありがとうございました。

【参拝案内】
万福寺(大寺薬師)
〒693-0074 島根県出雲市東林木町
大寺薬師奉讃会管理
要予約(出雲市文化財課に聞くと世話役さまの連絡先を教えていただけるかと思います。ちなみに、私は出雲市平田町の極楽寺さまにお電話した際に詳細教えていただきました。世話役さまにご迷惑とならないようご配慮お願いいたします)


【補足】
以下、大寺薬師さまの風景です。
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(↑境内のお不動さま)
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(↑最寄り駅のホームから見える景色。もちろん駅は無人。単線)
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(↑近くに出雲地方最古とされる古墳あり)
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(大寺薬師の近くの道)