ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【滋賀】昌善寺(東近江市)暗がりに浮かび上がる丈六の阿弥陀如来さまにお念仏

昌善寺(浄土宗/東近江市菩提寺町)

 何度か書いたかもしれないが、滋賀県の丈六阿弥陀仏にお会いしにいくという活動を細々と続けている。今回は東近江市の昌善寺をお参りした。昨年投稿した東近江市横溝町の善明寺のすぐ近くである。その距離はわずか500mほど。ご近所と呼べる場所に、平安時代の丈六阿弥陀如来様がお二人もいらっしゃる。おそるべし、東近江市。善明寺が10月第三日曜にご開帳なのに対し、昌善寺は事前連絡でご都合があえば拝観させていただけるとのこと。せっかくなので、お友達を誘って、善明寺と合わせてお参りしてきた。事前に写真で拝見した以上に立派な阿弥陀如来さまだった。
 拝観の最後に、住職様がお堂のカーテンを閉めて暗くし、静かな照明のもとで、お十念を申し上げる機会をくださった。丈六の大きな阿弥陀如来様が薄暗がりに浮かび上がる。お寺様に私がお願いしたのは仏像拝観。それなのに、それ以上の体験をさせていただいた。あの時のあの感覚忘れずにいたい。

阿弥陀如来坐像

平安後期 像高223cm 市指定
昌善寺ご本尊。丈六仏に合わせて明治15年に建てられた本堂にどっしりと坐しておられる。
事前に上半身のみのお写真をどこかで拝見していて、その限りではわかりにくかったが、実際に間近で拝見すると、見事な定朝様の丈六仏であった。丸いご尊顔。肩の力を抜いて、ゆったりと坐す。側面観は細み。安定感があり、とても上品なお姿。
気になるのは500mほどの至近距離にも平安後期の丈六阿弥陀仏が残るという点である。

地蔵菩薩立像

平安後期 市指定
お身体が薄く、衣文を彫り出さない。像高は50-60cmぐらいだろうか。頭部の色が体部と違っているのが気になる。平安後期のお像として、東近江市文化財に指定される。このように衣文を彫り出さないお像は時々お見かけするが、江戸時代だったりして、時代の見極めが私には難しい。
法然上人、善導上人とご一緒におられるところが、両上人のファンとしてはうれしかったりする。地獄の苦しみの中に現れて救ってくれるに違いない。

聖光上人像と良忠上人像

浄土宗第二祖聖光上人と第三祖良忠上人が同じお厨子にお並びであられた。珍しい、すごい、と喜んでいたら、このお像について質問される方も珍しいです、と言われる。浄土宗の法脈を辿る法要の際にお出しするお像なのだと伺った。

ご本尊阿弥陀如来さま
お身体が薄く、衣文を彫り出さない。平安後期。市指定
聖光上人像と良忠上人像であられると伺った

【拝観案内】

菩提樹山解脱院昌善寺
〒527-0136 滋賀県東近江市南菩提寺町680番地
電話 0749-45-2247
拝観は要予約。お寺様のご都合がよければ拝観可能。