ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【滋賀】善明寺(東近江市)〜阿弥陀様ご開扉は毎年2時間のみ〜

 滋賀の丈六阿弥陀如来坐像を巡礼するという活動を私一人で細々と続けている。今回は毎年1日のみ、しかも2時間しか開扉されない難関にチャレンジ。

善明寺(滋賀県東近江市横溝)
10月第3日曜11-13時頃ご開帳
阿弥陀如来坐像 277.2cm 平安(写真右側)
阿弥陀如来坐像 133.2cm 平安 胎内墨書により長承2年(1133)仏師河内講師僧快俊の作と判明。40名超の結縁交名も

善明寺の阿弥陀如来坐像。右が丈六坐像で、左はその半分の大きさ

 毎年10月第3日曜に彦根から住職が来られて法要がある。法要が終わった11時頃から2時間ほど一般向けに公開していただける。大きな収蔵庫に、丈六と半丈六の阿弥陀如来坐像が二尊並んでまつられる。

 間近で拝観できるので、必然的に丈六阿弥陀如来坐像は下から見上げることになる。阿弥陀様のお慈悲を体現したかのような気品のある大きさで、参拝者を優しく包み込んでくださる。もうただただ幸せである。
 同行された大沼芳幸先生いわく、「これだけの大きさの像を破綻なくまとめている。寄木造りにより仏像の大量生産が始まると、像の表現が形式化してくることがあるが、そうなる以前の作例ではないか」。つまり絶賛である。

 半丈六の阿弥陀如来坐像はまず、この垂れ目なところがたまらない。お参りする私もつい微笑んでしまう。このフレンドリーな阿弥陀様は彫刻史上重要な存在でもある。胎内墨書から造立年度や仏師名が判明し、また多くの結縁交名が見つかったことから、この地域の基準作されている。
 大沼先生に伺ったところ、現状の阿弥陀来迎印は後補で、元は別の如来像だったらしい。しかし、この優しさは阿弥陀様にふさわしいと私は思う。

 私は善明寺の二尊を「ダブルの阿弥陀さま!!」と興奮気味に呼んでいたが、仏友さんは「大小並んで、トトロみたい」と。確かに…! もはやトトロにしか見えなくなってしまった。
 メイちゃんになったつもりで、来年以降また大小のトトロ如来様をお参りできるよう願っている。


【拝観案内】
善明寺(臨済宗永源寺派
東近江市横溝町1659
10月第3日曜日11-13時頃にご開扉
www.higashiomi.net

阿弥陀様の写真は当日配布資料より