ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【京都】檀王法林寺で四天王立像を拝む

王法林寺(京都府京都市
参拝日=2020年9月初め

 2020年2月、大阪府和歌山県の県境、岬町にある興善寺をお参りした際、京都の檀王法林寺の楼門の四天王立像が明治まで興善寺におられたものだと教えていただいた。すぐにお参りしなければと思いつつ、コロナのため6か月余り経ってやっと拝観できた。
 檀王法林寺は京都の三条大橋のすぐそばに位置する。賑やかな一角にありながら、境内は静かで、保育園、児童館、子ども図書館もあり、和やかな空気が漂っていた。この地域では「だんのうさん」と親しまれているそうだ。


 楼門には、噂どおり、巨大な四天王が構えていた。これが興善寺の旧蔵の四天王だ。明治21年、檀王法林寺の楼門新築に伴い、檀王法林寺22世譲誉上人が購入したという。
 昭和53年の京都国立博物館の調査によると、四天王像の中で最も古式である広目天像は、興善寺の大日如来坐像(保安元年1120)銘のものと共通することから、平安時代後期の作と考えられている。興善寺の大きな胎蔵界大日如来を思い出す。他の四天王立像は鎌倉後期から南北朝多聞天の胎内の墨書には慈覚大師御作とあるが、定かではない。この時期に像高2mを超える巨像は珍しいそうだ。
 四天王像は平成8年から10年に修理が行われ、その際の願文は奉納者の干支別に四天王像の胎内に奉納された。

 興善寺を参拝したことを檀王法林寺のご住職にお話しすると、「よくお参りくださいました」とおっしゃってくださり、『第二十七世晋山記念 檀王法林寺縁起』という貴重な冊子をいただいた。檀王法林寺の歴史がわかりやすくまとめられており、勉強になる。

 心残りは、コロナのため、本堂の拝観ができなかったこと。定朝様の阿弥陀如来坐像(81.2cm 京都市指定文化財はいつか必ずお参りさせていただかねば。永久2年(1114)、白河法王の御願により建立された蓮華蔵院の旧仏と伝わる。蓮華蔵院は法勝寺の西に創建された同名寺院に比定される。その後、檀王法林寺の前身となる悟真寺を経て、檀王法林寺に伝わる。ヒノキに漆箔仕上げ。現在は本堂西側に安置。

 また、十一面観音立像(275cm 平安)もお参りしたい。この観音像は大和長谷寺の観音像と同木同作で仏師春日の作と伝わるそうだ。もとは大和竹林寺の本尊だったが、建仁寺内興雲院に供養されていたものを、明和8年(1771)に檀王法林寺12世良妙上人が譲り受け、安永5年(1776)に別堂を建てて安置した。現在の観音堂昭和12年(1937)の再建。

 末筆ではあるが、温かく受け入れてくださり、ご説明くださったお寺様に感謝申し上げたい。ありがとうございました。檀王法林寺は沖縄との関わりが深いそうで、時間が許せば、袋中上人のお話ももっと伺いたかった。またお参りさせていただく幸運に恵まれますように。

参考
〇檀王法林寺 檀王法林寺ホームページ 日本最古の招き猫伝説
〇興善寺ホームページ 鳳樹山興善寺
〇興善寺参拝記録 【大阪府】興善寺(岬町)に寄進して、仏像拝みにいきましょう! - ぶつぞうな日々 part III