ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【京都】国立博物館1階の彫刻展示「如来と菩薩」

京都国立博物館1F-1展示室
彫刻「如来と菩薩」
2024年6月18日(火)~ 9月8日(日)

京都国立博物館新館の1階、最初のお部屋に平安時代を中心とした古像が並ぶ。展示解説をメモしながら拝観すると、あっという間に1時間が過ぎた。本稿は、そのメモを文字お越しし、さらに感想や関連リンク等を少しだけ追記したもの。
初見の像はほぼなかったと思う。が、よいお像は何度お会いしても感動する。さらに調べてみると新たな発見もあって、感動が倍増する。

薬師如来立像(京都・長源寺)

10世紀 重要文化財
長源寺のある京都市左京区岩倉は10世紀後半には天台寺院が多かった。本像ももとは天台宗寺院のものだったと考えられる。比叡山延暦寺根本中堂最澄自刻像と共通の特徴をもつ、いわゆる天台薬師の作例。

10世紀の"天台薬師"(京都・長源寺)

最澄自刻の薬師如来像は、鎌倉時代慈円によると、右手を挙げて親指と中指を結び、左手は掌を上に向けて全指を前に伸ばし、薬壺を持たないお姿だった。これを模した天台薬師は10世紀後半以降、数多く造立されるようになる。
長源寺は1463年創建の浄土宗寺院。10世紀の作である本像は、明治5年(1872)に当寺と合併した恵尊寺の旧仏だったという説がある。
(感想:2022年の天台展(京博)でもお会いしたが、こういう10世紀の天台薬師は感動する)
(写真は京博サイトより)

阿弥陀如来坐像(京都・心光院)

12世紀前半
定朝様。主要部門は前後左右四材の寄木造り。後頭部は体部と共木から彫出。
(感想:お背中まで拝めて♡♡♡)

十一面観音菩薩立像(京都・妙傳寺)

10世紀 重要文化財
10世紀末の和様彫刻の夜明けの時期の様相をよく示す。丸顔。まなじりの短い目。少しめくれる唇。

妙傳寺(京都八瀬)十一面観音立像

(感想:耳に髪がかかる感じとか、臂釧の感じなど、同じようなお像をどこかで拝見したなぁ…と思った。今、調べてみたら、滋賀県大津・九品寺の聖観音菩薩立像とそっくりだった! しかも、前にTwitterに同じことを書いていた!→
https://x.com/hphiyodori/status/1551315092611837952
(写真は京博サイトより)

千手観音菩薩立像(京都・光明寺

8-9世紀 重要文化財
長岡京市粟生の光明寺の千手観音像。深い眼差しや天衣の柔らかな表現は奈良時代の塑像や乾漆像の特徴。一方、裳裾の力強い衣文や量感ある体躯は平安初期の特徴を示す。
(感想:♡♡♡ 前にもお会いしているはずなのだが、今回は特に感動。奈良時代と平安初期の特徴が混ざってるなんて、最高の中の最高!)

如意輪観音菩薩坐像(京都・廬山寺)

13-14世紀 重要文化財
杏仁形の眼、規則的に折りたたまれた着衣のしわは飛鳥時代の特徴。四天王寺の救世観音像(現存せず)を鎌倉時代に模刻したか。

地蔵菩薩立像(京都・常念寺)

鎌倉時代13世紀
木津川市加茂町、常念寺の2メートルほどの地蔵菩薩立像
(私の感想:衣文は運慶っぽい? 横須賀満願寺の菩薩・地蔵立像を想起する。助けに来てくれるお姿の大きな地蔵菩薩立像で、最初にお会いした時に感動したことを思い出した)

地蔵菩薩踏下像(滋賀・御影堂新善光寺

13世紀 重要文化財
片足を下におろす、いわゆる踏下像。唐末から五代の敦煌絵画、高麗時代の仏画などに多く見られ、日本では平安後期から違例がある。鎌倉時代以降に盛行。若々しい表現は鎌倉前期の特徴。

長浜の御影堂新善光寺地蔵菩薩像。写真は2019年時宗の名宝展図録より

如意輪観音菩薩坐像(京都・透玄寺)

重要文化財
装飾的な髪の表現や長い爪は宋風。肥後定慶の弟子筋の作。像内から銅製経筒に納められた経巻が見つかり、その奥書に建長8年(1256)に円空によって八条院大慈恩寺において書写された旨が記載。
(感想:天冠に髪の毛が巻き付いているぞー!)
参考 木造如意輪観音坐像 文化遺産オンライン

観音菩薩勢至菩薩立像(京都・清水寺

12-13世紀 重要文化財
丸顔で腰を捻る点、衣文の畳方などが、1189年開山の浄楽寺(神奈川県横須賀市)の運慶作の菩薩立像と似る。浄楽寺像よりやや細身であることなどから、作者についてはなお検討が必要だが、初期慶派の作例として重要。

十一面観音菩薩立像(京都・宝積寺)

10-11世紀
京都・大山崎町の宝積寺の立像。一木造り。かつて天台の寂照(じゃくしょう)が当寺を中興した際に造像したもの。
(感想:宝積寺本堂本尊は院派の大きな十一面観音立像。それよりも前の十一面観音像がおられたとは...)

十一面観音菩薩立像(京都・常泰寺)

10世紀
伏見区の浄土宗寺院、常泰寺の十一面観音立像。榧の一木造り。内刳りなし。技量と量感のある肉身表現は平安初期に通じるが、表情や衣の襞の表現が比較的穏やかで10世紀中頃か。
(感想:♡♡♡)
参考 木造十一面観音立像

地蔵菩薩立像(京都・新町地蔵保存会)

9世紀 重要文化財
榧の一木造り。
(感想:背中の左右から下に垂れる衣文が立体的。背中にも照明当ててー!)
参考 木造地蔵菩薩坐像 文化遺産オンライン

菩薩坐像(大阪・清泰寺)

9世紀前半から半ば 重要文化財
三尊の脇侍の一対で、文殊菩薩普賢菩薩と伝わる。
(感想:平安初期の感じがたまらない)
参考 清泰寺木造菩薩坐像2体 - 枚方市 - LocalWiki
参考 https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/201/00011714
参考 木造菩薩坐像 文化遺産オンライン

清凉寺式釈迦如来立像(文化庁

13世紀 重要文化財
仁和寺の一院だった京都・常楽院に伝来。伝承では、明恵上人が京都槙尾西明寺の釈迦如来像像と同じ木で造らせたという。作者は、常楽院創建のために土地を寄進した、仏師院賢。
(感想:前日に槙尾西明寺をお参りしたばかりだったので、鳥肌がたった。衣文表現が細かい。2010年に常楽院住職が借金の担保に入れたことが判明したが、その後文化庁が購入。付属する十大弟子像も院賢の作か)

薬師如来立像(京都府城陽市阿弥陀寺

9世紀 重要文化財
枇杷庄(びわのしょう)天満宮社の神宮寺薬師院の本尊。木津川地域において、河川氾濫の難を逃れるため、薬師如来像が多く造られた。厳しい表情、鋭い彫りなど、霊威による除災を祈願した。
(感想:去年の南山城展での記憶が新しい。今、東京国立博物館で公開中の神護寺本尊に迫力負けてない)

地蔵菩薩立像(奈良・秋篠寺)

9世紀 重要文化財
(感想:このあたりで時間切れ。。。この地蔵菩薩立像は何度かお会いしているが、相変わらず強烈な印象だった)