ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【京都市】遣迎院ご開帳に合わせて予定を組んだら、とんでもない山奥にとんでもない仏像がおられました

京都市の北の仏像を巡る

 快慶の若い頃の傑作の一つ、遣迎院京都市北区阿弥陀如来立像はお釈迦様の誕生日、4月8日にのみ公開される。この機会に京都市の北のほうの仏像をお参りしてきた。
 北山や京北と呼ばれるエリアに、京都市内とは思えない長閑な風景が広がり、次々と古仏にお会いすることとなった。無住寺や兼務寺も多く、拝観予約は難しかったが、地元の方々と友達のお力添えのおかげで、9か寺を巡り、みほとけを拝むことができた。枝垂れ桜も美しかった。感謝を込めて合掌

1) 桜本寺(京都市北区)菩薩立像 12世紀 市指定

152.8cm 寄木造り 漆箔 十一面観音としてまつられていたが、平成2年の修理の際、当初は観音菩薩像であったと判明。頭頂の化仏を取り除き、当初の形に戻された。

2)龍澤寺(北区)ご本尊は宝冠観音菩薩像 室町


3) 安楽寺(北区大森東町)

周山の登り口にある、小野という集落に安楽寺はある。文徳天皇の第一皇子惟喬親王が隠棲したと伝わる場所に立つお堂に、古仏がまつられる。

薬師如来坐像 平安前期 市指定 114.7cm 檜材 一木造り
如来立像 平安前期 市指定 161.2cm 檜材 一木造り
僧形坐像 平安前期 市指定 59.3cm 檜材 一木造り 
天部像 平安前期 市指定 102.2cm 檜材 一木造り

4) 福徳寺(京都市右京区下中町)

薬師如来坐像 平安後期 重文
二天像 平安後期 重文
薬師如来坐像 市指定
地蔵菩薩立像 市指定
如来立像 市指定
阿弥陀如来坐像 市指定(平安中期?)
如来坐像 市指定
かすみ桜

間近で拝ませていただきました。写真は福徳寺リーフレットより
福徳寺リーフレットより

5) 宝泉寺(右京区京北下熊野町

阿弥陀如来坐像 平安後期 市指定
二天像 平安
明智光秀ゆかりの不動明王坐像

6) 慈眼寺釈迦堂(右京区周山町)

黒塗り明智光秀像(くろみつ大雄尊) 市指定 墨で黒く塗り潰し、光秀像を守った。丹波に行くと、光秀は善政の人として今も尊敬されているように感じる。
釈迦如来坐像
文殊菩薩騎獅像
釈迦堂本尊烏枢沙摩明王秘仏

慈眼寺釈迦堂。写真は慈眼寺リーフレットより
お寺で有償頒布の写真より。目力の強い、凛々しい光秀像

7) 常照皇寺(右京区京北井戸町)

阿弥陀三尊 重文
阿弥陀如来51.3cm 観音勢至43.9cm
院政期の来迎像で「これほどの動きと臨場感のある例は珍しい」(『院政期の仏像』1991年より)

8) 遣迎院(北区)

阿弥陀如来立像 快慶 重文
釈迦如来立像 重文
発遣の釈迦と来迎の弥陀が並び立つ 。阿弥陀如来像は快慶の初期の傑作。憧れの遣迎院は4月8日のみ公開。

9) 神光院(北区)

如来立像 平安前期
地蔵菩薩立像 鎌倉
十一面観音菩薩立像 平安 他
上賀茂神社神宮寺におられた薬師如来立像がすごいと聞いていたのだが、神宮寺本尊だったという十一面観音立像もインパクトあって震えた。そして、その横の地蔵菩薩立像が見事な鎌倉仏で驚いた。薬師如来立像は上記安楽寺如来立像ににていた。



【拝観情報】

遣迎院は毎年4/8のみのご開帳。ガラス越しだが、明るくよく拝める。撮影も可能。
・福徳寺は事前にお電話で予約が必要。撮影は不可。
安楽寺は近くのオオモリ・サンバレイに問い合わせ。オオモリ・サンバレイはお食事処だそうなので、お食事とセットでぜひ。
・桜本寺は近くの龍澤寺が管理。事前にお願いする必要あり。
・慈眼寺釈迦堂は土日と月曜は予約なしで拝観可能。それ以外は予約が必要。
・なお、今回は予定が合わなかったが、鳥居構造改善センターの千手観音像は京都市文化財課から管理者につないでいただける。
・また、福徳寺の近く、平安の増長天(重文)や鎌倉仏(市指定)をまつるお寺様は無住となり、拝観への対応はされておられない。一部ネットに春秋の彼岸が望ましいと書いてあったが、その時期でも難しいとのことで、残念でならない。
・同じく京北地区の薬師寺は12月8日にご開帳とHPに記載あり(年末多忙期ではないか…。どうする!)。
阿弥陀部として拝観希望していたお寺様は一般拝観は一切行っていないとのこと。

貴重な尊像を拝ませていただき、ありがとうございました。予約拝観でお世話になった皆様には、特にお礼を申し上げます。