平安前期の美しく強い観音様。像高149.7cm 。重要文化財。和歌山市の文化財サイト
木造十一面観音立像 | 和歌山市の文化財
には次のような説明がある。
(引用始め)
慈光円福院は戦災で焼失した円福院を再建する際に、無住になっていた和佐八幡宮の別当寺であった観音院慈光寺を移築し現在の寺名に改称したもので、本像もその際に移されました。
本像(像高149.7cm)は内刳りを持たない檜の一木造の十一面観音立像です。装飾的な天冠台や翻波式衣文、目鼻立ちがはっきりと表した面貌、わずかに残る彩色からいわゆる彩色檀像であったと考えられます。肉感的でありながら瑞々しいその面貌表現は大阪府観心寺如意輪観音像等とも共通することから、平安時代前期の真言密教との関わりが伺われます。(引用終わり)
観心寺(河内長野)の如意輪観音像との類似性が指摘されている。垂直に下げた右腕が長めで、法華寺(奈良)の十一面観音立像に似ているようにも思う。同じ頃に、同じ工房で造られたのだろうか。上記サイトには檜とあるが、せきどさんをはじめ、カヤと明記するサイトも少なくない。観心寺像も法華寺像もカヤの一木造。
前回、仏像リンクのオフ会でお参りした。夕方遅く、すでに日が落ちたあとでの拝観だった。今回、二度目の拝観は、秋の日の昼間。約束の時間に訪れると、年配の女性がお厨子を開けてくださった。昼間に一人で訪れると、思っていたより堂内が広く感じた。
そして、一人で観音様に対面していると、なんだか叱られているような気がしてきた。叱られつつも、励まされる。叱咤激励されてような感じだった。はい、観音さま、私もう少しがんばります。
貞観の香り漂う美しい観音像。またいつか再訪したい。その時は何を感じるのだろう。