ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【和歌山】紀三井寺秘仏本尊特別開帳~感動を伝える言葉が見つからない~

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ご開帳のリーフレット 秘仏の写真は掲載されていない
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写真は公式Facebookより 秘仏本尊にはぼかしが

紀三井寺開創1250年
秘仏本尊・十一面観音菩薩立像
秘龕仏・千手観音菩薩立像
50年に一度 特別ご開帳
2020.3.18-6.28 / 9.20-12.20

 紀三井寺本堂の裏手の大光明殿で、中央の大きなお厨子が開いていた。堂内へと続く廊下からそれが垣間見えた瞬間、胸が熱くなった。お厨子の中には、秘仏本尊・十一面観音立像と秘龕仏・千手観音立像(いずれも重文)が並び立つ。

 秘仏本尊の十一面観音は思ったより大きかった。大きな頭部。大きな鼻に大きな耳。どっしりした体部。平安前期は強めのお像が多いが、この秘仏本尊には、どこかのんびりとした、おおらかさも感じられた。10世紀初めの作だという。強く惹かれる。

 秘龕仏の千手観音立像は、もう少し時代が下る。10世紀後半から11世紀。秘仏本尊より小顔で、洗練された感がある。尖った山型の眉。小さく整った鼻。きゅっと閉じた小さな口元。そして、よく見ると、大きな腕だけでなく、小さな無数の腕もついていた。真数千手ということか。

 昨年の春、紀三井寺をお参りした際、この二観音の写真を拝見し、これは必ずお会いしなければと思っていた。しかし、目の前に現れた御仏は、写真以上だった。生きて、息をしているようにさえ感じる。

 秘仏以外の諸仏も特筆に値する。厨子の正面左には、平安後期の毘沙門天立像と帝釈天立像。右手には梵天立像。

 いつもは右手にもう一体の十一面観音立像もおられるのだが、私が訪れた時にはご不在だった。先月まで京都国立博物館の西国観音展に出陳されていた。さらに、今月末から和歌山市立博物館で開催される紀三井寺展にもお出ましなのだそうだ。
 この十一面観音立像もかなりの力で私を惹きつける。今回、秘仏本尊とご一緒のところをお堂で拝観できなかったことだけが残念だ。しかし、この観音様は、50年に一度の特別開帳をPRするため、特別な任務に出ておられるのだ。あんなに清楚な観音様が営業をがんばっておられるとは。涙がこぼれそうだ。京博でお会いできたのは嬉しかったが、私はやはり、お堂のあの空間で秘仏とともにお会いしたかった。

 それにしても、紀三井寺の本堂奥の諸仏になぜこれほど感じ入ってしまうのだろう。世の中には神聖な何かを感じられる場所があるもので、紀三井寺のあの空間は確かにその一つなのだろう。そっと息づく平安諸仏をどう形容したらよいのか。その言葉を私は探している。

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1日33枚限定の特別御朱印

参拝日 2020.10.16

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