福井県立若狭歴史博物館
「あるお寺のほとけさま
ー秘仏観音像と伝来の古仏ー」
2022/4/24-5/29
由緒ある古刹に古仏が住まわれる福井県小浜市。小さなお寺やお堂も点在し、そこにも古仏が潜んでおられるのだという。
そんな小さなお寺の一つから、平安仏を中心とする諸像をまとめて紹介する展覧会が若狭歴博で開催されている。
セキュリティへの配慮からであろうか、お寺の名前はあくまで明かされない。代わりに、「あるお寺のほとけさま」という可愛らしい題名がつけられた。そして、それに食いついてしまったのが、こちらの仏像大好きおねえさんである。小浜市某寺からお出ましの仏像全13躯を堪能した。もはや、総出開帳である。
ポスターに大きく掲載される美しい尊像は、本堂の宮殿型厨子にまつられる平安の秘仏本尊だ。展示解説によると、柔和な表情の檀像で、幼児のように頭部と足が大きい一方、いかり肩で肘が長く、均整を無視した古様の姿。裳の衣文は単調なのに対し、条帛と天衣の衣文は密に彫られ、変化をつけている。平安初期の作とみられるのだそうだ。見れば見るほど惹かれる、不思議なお像だった。
秘仏の両脇侍は江戸時代の毘沙門天立像と不動明王立像。お寺では、秘仏本尊とともに、同じ宮殿型厨子内に安置される。厨子と同時に造立されたものとみられる。某寺の現在の宗派について説明はなかったが、この三尊形式が天台系である点には留意しておきたい。
さらに、展示の大半を占めるのは、大小十数躯の朽ちた平安仏である。これらは本堂奥の壇上にまつられる客仏なのだという。
それにしても、寺名を伏せて、博物館ですべての仏像の出開帳を行ってしまうとは! それを実現させた関係各位の突破力に脱帽である!!
※ 展示室の写真は若狭歴博公式FBをご覧ください→https://www.facebook.com/100063749281820/posts/379163417551965/?d=n
※ 図録なし。展示リストを貼っておく。