- 1) 興善寺とは
- 2) 【本堂】重文の巨大な平安仏が鎮座!
- 3) 【山門】大きな被害を受け、支援が必要です!
- 4) 【不動堂】大きな不動明王立像も必見! 四天王像を仮安置中!
- 5) 檀王法林寺の四天王像が!?
- 【追記2020.04.11】クラファン達成!
- 拝観案内
和歌山県との県境、大阪府岬町の山沿いのお寺、興善寺。一昨年の台風(2018年台風20号と21号)により大きな被害を受け、復旧のためのクラウドファンディングを実施中である。2020年2月22日、ご住職にご案内いただき、お参りさせていただいた。
興善寺は852年創建で、平安後期の胎蔵界大日如来、通称みさき大仏(国重要文化財)ほか、連綿として続く信仰の対象である貴重な文化財を多数お持ちである。この維持を一か寺だけに背負わせるのはよくない。岬町のゆかりの人にお願いするだけでも足りない。大阪府内外の大勢の人とご縁を結び、その寄進によって修復し維持していくべきだと思う。
このクラウドファンディングでは、リターンの一部としてお寺の拝観機会が付いている。仏像ファンであれば、ぜひともCFに協力したうえで拝観しようではないか! リンク先からぜひともご寄進を!
1) 興善寺とは
クラウドファンディングのサイトから、お寺の簡単な歴史を引用する。
鳳樹山 興善寺は、天台宗比叡山延暦寺の末寺として、仁寿二年(852年)文徳天皇の勅願寺として慈覚大師円仁が創建されました。旧国宝の「みさき大仏胎蔵界大日如来」「薬師如来」「釈迦如来」をはじめ、本堂(1688)、山門(1736)、鐘楼、不動堂、聖徳太子堂、回向堂、鬼子母神堂と、数多くの仏様を祀るお寺です。現在の建物は、元亀天正(1570年頃)の兵火により焼失後、明暦元年(1655年)中興の祖専海大僧都が紀州粉河寺より興善寺へ来られ、元禄元年(1688年)本堂より再建され今に至ります
引用終わり
2) 【本堂】重文の巨大な平安仏が鎮座!
(↑写真はクラウドファンディングのサイトより)
興善寺は南海の多奈川駅から2キロ。のんびり歩き、台風で壊れたままの山門をくぐって境内へ。本堂は、境内の階段を上った高台にある。堂内に入ってびっくり! 大きな平安の如来坐像が3躯まつられていた! いずれも国の重要文化財だ。
胎蔵界大日如来坐像 1120年 288cm(通称みさき大仏)
釈迦如来坐像 1093年 138.9cm
薬師如来坐像 139.2cm
写真で見る以上の迫力だ。特に、中尊の胎蔵界大日如来は、お堂の屋根に届きそうなほど大きい。よく見ると、お堂の床より下の部分がくりぬかれており、そこに置かれた大きな蓮台の上に坐しておられる。床下部分もかなり深く、台座もかなり大きい。
胎蔵界大日如来の胎内墨書には、女性を中心として300名ほどの結縁者の名前が見つかっているそうだ。胎蔵界ということで、安産や子育てと結びついたと考えられている。女性の結縁者が多いのはそのためだろう。そして、とてつもなく大きいのに、果てしない優しさを感じるのも、そうした信仰あってのことだろう。興善寺では、この大日如来を未来、薬師如来を現在、釈迦如来を過去とみなし、信仰しているのだそうだ。
私がお参りした際には、この三尊の修理に向けて美術院の方が調査に来られていた。山沿いの小さなお寺の大きな大きなお像をいかに修復するのか思案されているようだった。地方での大きな仏像の修理は大変なこともあるだろう。協力できることがあれば、微力ながらお役に立てればと思う。
なお、この三尊の合間には、菩薩立像と天部立像(梵天か帝釈天?)と思われる破損仏2躯もまつられている。こちらも忘れずに拝観したい。お像の由来も明らかになることを願っている。
3) 【山門】大きな被害を受け、支援が必要です!
台風被害を受けた山門はまだ手付かずのまま。クラウドファンディングのサイトに掲載されている状況とほとんど変わっていない。
山門が壊れたため、元々その中に安置されていた四天王立像は今、不動堂にご避難なさっている。お腹に白い覆いをされ、紐で固定される四天王さまは痛々しい。無事に修復され、また山門をお守りいただきたい。
4) 【不動堂】大きな不動明王立像も必見! 四天王像を仮安置中!
山門の四天王が避難されている不動堂には、その中尊として2メートル弱ほどの大きな不動明王立像がおられる。おそらく平安後期か?
その正面右手には、もう少し時代の新しい(鎌倉以降?)千手観音立像も。
いずれも文化財未指定とのことで、これまた驚きだ。撮影不可のため、写真を掲載できないのがのが残念でならない。この二尊に加えて、山門の四天王立像も安置される不動堂は、仏像好きには垂涎の空間となっている。ぜひとも寄進して拝観してほしい。彫刻史に詳しい方からのコメントをお待ちしたい。
不動明王立像の正面左端には、厨子が置かれる。その扉は閉じられていたが、お軸の元三大師様がまつられていると伺った。興善寺様は天台宗である。
5) 檀王法林寺の四天王像が!?
さらに驚いたのが、京都の三条駅近くの檀王法林寺の四天王像が、もともとこの興善寺に伝来したものだということだ!
檀王法林寺の公式サイトによると、すべて2メートルほどの大きなお像で、「最も古式である広目天像は、興善寺が所有する保安元年(1120)銘の大日如来像のものと共通することから平安時代後期の作で、その他の像は鎌倉後期から南北朝と考えられている」のだそうだ。こちらもお参りに行かなければ!
www.dannoh.or.jp
最後に、お忙しい中、ご案内くださったご住職とご家族の皆様に改めてお礼を申し上げたい。信仰と貴重な文化財をお守りしようとするお気持ちがひしひしと伝わってきた。多くの方に興善寺様を知っていただき、支援を広げていただければと願っている。
【追記2020.04.11】クラファン達成!
2020年3月9日にクラウドファンディングは無事に達成されました! ブログやTwitterでの呼びかけたところ、全国各地の仏友さんが「参加したよー」と言ってくださいました。Makuakeサイトによると、私のリンクから12件の参加があったようです。仏友さんたちと気持ちを共有できたことがともてうれしいです。そして、それによって、わずかでも興善寺様のお役に立てたのなら、なおのことうれしい。興善寺さまのクラファンに感謝を申し上げます。今後も支援が必要かと思います。またお参りに行って、少額でも寄進したいです。