谷中の毘沙門天 天王寺(東京都台東区)
山手線の日暮里駅のすぐそばに、平安後期の見事な毘沙門天像がおられる。谷中七福神の一つで、元旦から1/10までの七福神巡礼期間に開扉され、間近でお姿を拝むことができる。
元禄12年(1699)に天台宗に改宗する際、比叡山の円乗院から伝教大師親刻とされる毘沙門天像を遷し本尊とした。東叡山寛永寺の北方に位置するため、京都の鞍馬寺にならって毘沙門天をお迎えしたのだそうだ。戊辰戦争の時には四谷の安禅寺に避難させたという。
これほど見事な平安後期の尊像が山手線のすぐそばに残っているとは! これだから仏像巡りやめられない。困ったことだ…
なお、天王寺の現在の本尊は阿弥陀如来。境内の大きな銅造釈迦如来坐像は日蓮宗だった頃の造立。五重塔は目黒行人坂の火災のあと寛政3年(1791)に再建されたが、それも昭和32年(1957)に放火により焼失。幸田露伴『五重塔』のモデルとなった。