1) 石清水八幡宮旧蔵の諸仏を拝む
京都府八幡(やわた)市の文化財公開があり、明治初めまで石清水八幡宮におられた仏像を拝観させていただいた。早朝のケーブルカーで石清水八幡宮を初めて参拝した後、下山してレンタサイクルに乗り換え、神應寺、正法寺、善法律寺を参拝。こんなに仏像の宝庫だったとは!
特に、正法寺の丈六阿弥陀如来坐像は間近で拝観できて、大興奮。快慶作の可能性もあるそうで、奈良国立博物館「快慶」展(2017年)の図録に写真入りで掲載されていた(ただし、快慶展には出陳されていない)。阿弥陀様の説法印に胸が躍る。(伊賀の新大仏寺の丈六如来坐像を思い出すが、あちらは頭部のみが快慶という変化球だったなぁ…、などと回想シーンを交えつつ拝観した)
善法律寺には、小さな本堂に所狭しと仏像が安置される。本尊八幡大菩薩坐像(地蔵菩薩)ほか、市指定文化財の仏像が多数。
神應寺は行教律師坐像が平安前期。奥院に等身大の制咜迦童子と矜羯羅童子。
なお、このような市主催の文化財公開は毎年春と秋に開催されているようだ。今秋は11/20-21の2日間だった。紅葉の時期にぶつけてくるとは、にくい配慮。
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2) 拝観した社寺と仏像リスト
以下、参拝した社寺とその仏像等を列記。備忘録として。
2-1) 石清水八幡宮
奈良大安寺の行教が貞観元年(859)、宇佐八幡宮を男山に勧請したと伝わる。「木津川・宇治川・桂川の三川が合流し淀川となる地点を挟んで天王山と対峙する位置にあり、京・難波間の交通の要地」。「平安京から裏鬼門(南西の方角)に位置し、鬼門(北東の方角)に位置する比叡山延暦寺とともに都の守護、国家鎮護の社として篤い崇敬を受ける」(石清水八幡宮HPより)
2-3) 杉山谷不動尊(神應寺奥院)
制咜迦童子矜羯羅童子(室町の等身大、市指定文化財)※外陣から拝観だが、等身大の像なので、なんとか目視で見える。双眼鏡などあればなおよろしいかと。
中尊の不動明王は秘仏
2-5) 八角堂
上記の正法寺阿弥陀如来坐像が祀られていたお堂が現存し、特別公開されていた。もともと男山西谷にあったが、明治初めに現在地(西車塚古墳)に移された。正八角形でなく、四方形の四隅を切り取った八角形(隅切形八角形)であることが特徴。
2-6) 善法律寺
2-6-1) 本堂
○本尊八幡大菩薩坐像(地蔵菩薩坐像)市指定文化財 平安 寄木造り 彫眼 像高88cm
○愛染明王坐像(本尊脇仏) 市指定文化財 13世紀後半 寄木造り 玉眼 像高115.8cm(蒲郡にある石清水八幡宮旧蔵の愛染明王像を思い出した)
○不動明王坐像(本尊脇仏) 市指定文化財 13世紀 寄木造り 玉眼 像高98.4cm
さらに小さな仏像も多数。左から随求菩薩坐像(7.5cm江戸)、伝吉祥天立像(牛頭天王像、82.4cm平安 焼跡あり)、毘沙門天(30.5cm鎌倉)、さらに、大黒天(40.5cm江戸)、阿弥陀如来像(48.9cm江戸)、八幡菩薩像(64.2cm江戸)
2-6-2) 阿弥陀堂(本堂奥の位牌堂)
○宝冠阿弥陀如来坐像 市指定文化財 南北朝 寄木造り 玉眼 91.2cm
○十一面千手観音菩薩立像 市指定文化財 13世紀後半 寄木造り 玉眼 像高137.6c m お顔が見事な鎌倉で、腕が細い 石清水八幡宮観音堂から遷座
○地蔵菩薩立像 市指定文化財 平安12世紀後半 一木造り 彫眼 像高86.5cm 右手で衣の裾をつまみ、左手に錫杖を持つ(ボランティアガイドさんは、衣をつまむ例として、奈良の融念寺と長谷寺の地蔵菩薩立像を挙げておられた。私もそれは思ったが、こちらは12世紀後半だから、少し時代が下るなぁと思った)
※どれも気になる仏像だった! 写真でご紹介できないのが悔しい!!
2-7) 単伝庵(らくがき寺)
お寺の壁に落書き。昔の幸福駅を思い出したのは道産子の私だけかな。。