凝然国師没後700年 特別展
鑑真和上と戒律のあゆみ
京都国立博物館
前期展示:2021年3月27日(土)~4月18日(日)
後期展示:2021年4月20日(火)~5月16日(日)
鑑真和上は生きている!
鑑真和上に久しぶりにお会いしたく、展覧会初日に出かけてきた。
天平の乾漆像は生き生きとしたお像が多いが、この鑑真和上像は特別だ。穏やかに微笑み、まるで息をしているかのようだ。穏やかでお優しいお人柄が全身からあふれ出ている。おそばに行って、お話したくなってくる。あわよくば、悩みを聞いてもらいたい。私のようなダメ人間でも、きっと温かく話を聞いてくださるような気がする。
静かに閉じた両眼は左右が若干アシンメトリーなところが魅力的だ。日本に到着した時には視力を失ったとされる鑑真和上だが、実は少しだけ見えていたのではないかとまで思ってしまう。今にも薄目を開けて、こちらを覗いてきそうだ。描かれたまつ毛が愛おしい。
お腹の前で組んだ両手は正面より少し右側に寄っている。おそらくそれが鑑真和上の癖だったのだろう。高尚な人格がにじみ出るのに、親しみを覚えてしまうのは、こうした点にあるのだろう。
教科書に載っていて、日本人なら誰もが見たことのあるお像だと思う。しかし、実際に間近でお会いしないと、お像の息遣いまでは聴こえてこない。
唐招提寺では、和上の御命日を挟んだ6月の3日間のみ、ご開帳される秘仏である。京都国立博物館で2か月近く公開されるのは大変ありがたい。初日の夕方、館内はガラガラで、ゆっくり拝観できた。