ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【滋賀】瓦屋禅寺ご本尊千手観音菩薩立像を拝む

瓦屋禅寺(臨済宗妙心寺派東近江市)
50年ぶりご本尊千手観音立像のご開帳

今年最も楽しみにしていた瓦屋禅寺のご開帳に伺った。

瓦屋寺は聖徳太子が創建に関わる古刹。物部氏に勝利した聖徳太子四天王寺を建立する際、この地の土で瓦を焼き、摂津まで運ばせたという伝承が残る。瓦造りの作業が神仏のご加護により順調に進むよう、聖徳太子自らが千手観音を刻んだのが、瓦屋寺の始まりと伝わる。天台宗だったが、織田の焼き討ちで衰退。江戸初期に香山和尚を中興とし、妙心寺派となる。宗派は変われど、太郎坊宮をさらに登った山の上、清らかな佇まいは歴史を超えて変わらないように感じられた。

秘仏本尊千手観音菩薩立像(重文)

秘仏本尊千手観音菩薩様。お寺で購入したクリアファイルの画像を撮影したもの

秘仏千手観音立像は50年ぶりのご開帳。彫刻史の観点からの説明は見つけられていないので、仏像大好きおばちゃんの素人の直感を書いてしまおう。
まず、ご尊顔は平安前期のような密教色の強い、力強い感じ。お厨子に入っておられるので側面は見えなかったが、正面から拝する限りでは、お身体は全体的に細身な感じ。特に、お膝辺りから下が細い。下腹部辺りの衣文は繊細といってよいのか? 素地のせいか、檀像風にも感じられる?
腕は後補も多いのかもしれないが、千本の腕をもつ真数千手である。しゃもじのような薄い腕が付いている真数千手は時々拝見するが、それが前方に向かって伸びている珍しいのではないかと思った。 仏友さんの一人はそれを「私たちに向けて手を差し伸べてくださっているかのよう」と表現したのだが、それこそ観音様の本質を表していると納得してしまった。仏友さんの心がきれいだから、そう感じられるのでしょう。

四天王立像(市指定文化財

手前の増長天持国天が身体を捻った動きのあるポーズを取るのに対し、後ろの広目天多聞天は直立に近いという違いはあるものの、総じて穏やかな感じのお像 である。平安後期だろうか。

秘仏本尊以外は撮影してよいとのことで、恐る恐る撮らせていただいた

地蔵菩薩

本堂と渡り廊下でつながる地蔵堂にまつられる。これはとても難しい。摩耗した優しいご尊顔は平安かもと推測するも、お身体の印象がだいぶ異なる。難しい。

小さな仏像がたくさん

驚いたのは、庫裏の一室に並べられたたくさんの小さな仏像たちである。 天狗三尊 (金毘羅大権現、 太郎坊山権現、秋葉山大権現)、 摩利支天、役行者など、 禅寺とは思えない仏さまばかり。おそらく古くても室町以降のような気がするが、その頃も山岳信仰の影響があっただろうか。それとも明治以降にどこからか譲り受けたのか。いずれにしても特筆すべき仏像群かと。

躍動感あふれる摩利支天に目が釘付けとなった

以上、仏像に関する説明はなかったので、 素人 の仏像大好きおばちゃんの感想を思うままに書き連ねてみた。きっと素人の勘違いもある。もっとちゃんと勉強したいなぁ…

【拝観案内】

瓦屋禅寺(臨済宗妙心寺派
maps.app.goo.gl