ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【滋賀】正福寺(甲賀市)秘仏十一面観音菩薩立像〜霊木を感じる〜


正福寺(滋賀県甲賀市臨済宗妙心寺派

滋賀県甲賀市の正福寺。聖徳太子開基と伝え、平安以降は天台宗寺院として栄えた。1572年元亀・天正の乱で七堂伽藍を焼失するも、江戸時代初期、寛文年間に、実堂大和尚により臨済宗妙心寺派として再興。
令和の今、正福寺の禅寺らしい静謐な境内に、天台宗だった頃の貴重な平安仏が残る。特に、秘仏十一面観音菩薩立像は、霊木から現れたかのような尊いお姿で、とてつもなく引き込まれてしまった。木の中にみほとけを感じられた時代にのみ彫り出すことができる尊像だと思う。可愛らしくも、神々しい。神々しいのに、可愛らしい。私にはとんでもなく魅力的なのだ。毎年8月10日午前中に拝観できる。2022年に続き、2023年もお参りしてきたので、少し追記のうえ、再投稿する(2023.8.12)

ご本尊十一面観音菩薩立像(秘仏

像高126cm/平安/重文
ふっくらとした穏やかなご尊顔。浅い衣文。正面にから拝すると細身で、胸の辺りに木芯のようなものが見える。頭頂とその下に一列に並ぶ化仏まで一木で彫り出していると伺った。平安後期の作とされながらも、古様で、霊木を活かしたように感じる。隠れ里のような場所の静かな古寺には、厨子の中に霊力を閉じ込めているような秘仏がおられるものだ。
千日会の8月10日午前中にご開帳だが、膝から下は隠れて見えない。33年に一度の本開帳の時のみ全身を拝めるのだそうだ。10年後ぐらいに中開帳があるかもとお寺様はおっしゃっていた。機会があればまた拝観したい。

釈迦如来坐像

像高140cm/平安/重文
穏やかで気品あふれる。お身体は思いのほかどっしり。寄木造り。彫眼。定印を結ぶ。足元の衣文は同心円上に流れる。後補は少ない。

地蔵菩薩坐像

像高159cm/平安/市指定
寄木造り。彫眼。左手に錫杖、右手に宝珠。
秘仏十一面観音の両脇に、これだけの大きさの立派な釈迦如来坐像と地蔵菩薩坐像がおられる。みほとけの力があふれる本堂をぜひお参りいただきたい。


金剛力士

像高約197.6cm/平安/県指定


平安後期の仁王さん。欅の一木造りで内刳りなし。像高197.6cm。平安の仁王さんは珍しいと思うのだが、それでも県下3番目の古さとは。近年の保存修理を経て、2022年に仁王門に戻られ、2023年に文化財指定が市指定から県指定へ変更された。

以下は2022年拝観時のTwitter投稿