ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【京都府】永明寺(福知山市)の丸山仏と諸像に魅了される!

永明寺(京都府福知山市牧)

光泰山永明寺(ようめいじ)は、文正元年(1466)に円通寺(兵庫県丹波市氷上町)の大極和尚を開山とし、如意輪観音像を本尊として創建したと伝わる曹洞宗寺院である。由良川牧川が交わる近く、牧という集落に位置する。

1) 本堂の奥の諸像

昭和42年(1967)、廃寺となった近くの大谷寺西方院から移された諸像が、永明寺本堂の奥にまつられる。西方院は真言宗の尼寺だったそうで、最後の庵主様のお写真もご一緒にご安置されていたのが印象的だった。

1-1) 十一面観音菩薩立像

最近、本地仏の十一面観音立像に惹かれるのだが、この十一面観音像にもなぜか強力に吸い寄せられた。あとで教えていただき丸山尚一さんの本を読み返すと、西方院は近くの一宮(いっきゅう)神社の社僧を務めており、この十一面観音像は一宮神社の本地仏だったと書かれていた。不思議な魅力はそれゆえか。優美かつ森厳なご尊顔、頭頂に一列に並ぶ丸顔の化仏、力強く水瓶を握る姿勢に特に惹かれた。なんと文化財未指定。

一宮神社本地仏として丸山尚一『地方仏を歩く』に掲載される十一面観音菩薩立像
不思議な魅力に惹かれた

1-2) 地蔵菩薩立像

像高65.5cm 市指定文化財
十一面観音像に魅了されて、あぶなく見逃すところだったが、なんと、右手で袖の一部をつまんでおられる。仏友さんに指摘されるまで、気がつかなかった。しかも、なんと、福知山市文化財サイトを拝読すると、あの旧威徳寺観音堂仏像群のうち、同様のものが少なくとも7躯が確認されているのだそうだ。「(永明寺の)本像を含めてこれらの像は、平安時代後期の作例と考えられ、当地域における一つの歴史的特色を示すものと考えられる」。あー、あー、あらためて、旧威徳寺観音堂に行きたい! どうしたら拝観できるのだろう! 

かわいらしい地蔵菩薩立像
右手で衣をつまむ
衣をつまむ御手が見えるだろうか

1-3) 馬鳴菩薩像

養蚕の歴史を物語る馬鳴菩薩像。時々お見かけするが、これほど美しいのは初めてかも。

美しい馬鳴菩薩
多臂のバランスがよく、馬に乗る姿勢が美しい

2) 観音堂

2-1) 如意輪観音

像高65.3cm 市指定文化財
さらに、立派な観音堂にて、室町時代と思われる如意輪観音像を拝ませていただく。三十三観音が賑やかに並ぶ空間。

観音堂の観音様たち
如意輪観音像(福知山市指定文化財

3) 仁王像

仁王像も旧大谷寺由来のもの。その由来を記す大正10年の文章が仁王門のそばに。貴重な尊像と歴史と文化を今日まで伝えくださる方々に感謝を伝えたい。

仁王さんの勢いが伝わるだろうか! (フェンスに負けた写真がこちらになります)

【拝観案内】

永明寺
〒620-0913 京都府福知山市牧282
0773-33-2153

【参考】

・丸山尚一『地方仏を歩く 一 近畿編』日本放送出版協会2004年より、「丹後山地の仏たちp36-37に永明寺十一面観音像の記載あり
永明寺 木造地蔵菩薩立像 - 福知山市オフィシャルホームページ
永明寺 木造如意輪観音菩薩坐像 - 福知山市オフィシャルホームページ
牧(福知山市)