ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【福井】二上観音〜愛にあふれる33年に一度のご開帳〜

二上観音堂福井県福井市
十一面観音菩薩立像ご開帳
2023.5.4-5.5

二上観音堂

 福井・文殊山の登山口にある小さな観音堂で、十一面観音菩薩立像が33年ぶりに公開された。

 福井市立郷土歴史博物館に寄託されているにも関わらず、秘仏のため公開されずにきた。福井の秘仏が多数お出ましになった2016年「福井の仏像」展の時も、この二上の観音様だけは写真パネルでの展示となっていた。

 つまり、ご開帳は33年に一度というルールをひたすらに守り続けておられるのである。

 今回、この2日間のためだけに、観音堂にお像がお戻りになった。さらに、大きな幟を立て、資料を用意し、参拝者の便宜のために足場まで設けてくださった。繰り返すが、たった2日間のためだけに、ここまで準備されたのである。在所でお守りされる小さな観音堂には、大きな愛があふれていた! 

 そして、驚いたことに、関東や関西から仏像好きのお友達が次々と集まってきた。「あー、◯◯さん!」という感じで、もはや同窓会のような状態に。

 初日5月4日の午後にNHK福井のニュースで取り上げられたそうで、2日目の今日はさらに多くの方々がお参りされることだろう。

古仏とパイナップル

【十一面観音菩薩立像】
 像高180cmほど。檜の一木造り。内刳りなし。重要文化財
 二上には、奈良東大寺の初期の荘園(糞置荘)が置かれていたことから、この観音像の制作時期を8世紀半ばとする説もあり、今回のご開帳時に配布される資料にもそう書かれていた。
 一方、文化庁のサイト文化遺産データベース
では、広島の龍華寺の十一面観音菩薩立像と和歌山の慈尊院弥勒仏坐像を引き合いにしたうえで、二上観音像を10世紀初めの作と説明する。いずれにしても、大変貴重な古仏の尊像であることに間違いない。 

左右の眉がつながる(連眉)。大きな耳。若々しい胸の筋肉。左肩から右脇腹に垂れる衣のやわらかさ
この複雑な衣文に惹かれる
膝から下の衣文もしびれる