ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【東京】【多摩仏】深大寺 元三大師ダブル公開2021

 深大寺(東京都調布市)の秘仏で僧形の巨大な元三大師坐像が上野への展覧会に出開帳。そして、その胎内仏が深大寺釈迦堂で特別公開中である。どちらも11/21まで!

1) ご開帳1=ど迫力の秘仏慈恵大師像がトーハクで出開帳!!

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2019年1月に深大寺に貼られていたポスター! これが特別公開ののろしだったのか!?

 深大寺元三大師堂にまつられる慈恵大師(元三大師)坐像は、僧形にして、とんでもない迫力の秘仏である。像高2メートルのこの巨像が、今、東京国立博物館の「最澄天台宗のすべて」展(11/21まで)にお出ましである。
 実は、昨年深大寺でご開帳の予定だったのだが、コロナ禍のため延期となっていた。今回の上野への”出開帳”は、2009年に深大寺で行われた中開帳以来、10年以上ぶりに拝顔できるチャンスである。生々しい表情や分厚い体躯を間近で拝見し、ひっくり返りそうなほど驚いた。こんな僧形像、なかなか他にはおられないのでは。鎌倉時代の作で、昨年東京都有形文化財に指定。
 深大寺の元三大師堂はご祈祷が行われる場所であり、お参りの人が絶えない。何度かお参りしている元三大師堂にこんなにも巨大な僧形像がおられたとは。どこにどう収まっているのか想像の範囲をこえている。できれば、近いうちにこのお堂でまたご開帳していただければ、などと思ってしまう。
 「最澄と天台宗のすべて」展東京会場のみの出陳らしいので、ぜひこの機会をお見逃しなく!

2) ご開帳2=深大寺で胎内仏鬼大師が205年ぶりご開帳!!

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事前公開された鬼大師像はこの後ろ姿だけ。現地で拝顔したときの驚きと言ったら...!

 そして、この慈恵大師像の留守を預かる調布の深大寺では、なんと、その胎内仏が特別に公開されている。像高15センチほどの小ぶりの鬼大師像だ。
 文化13年(1816)、両国回向院に元三大師坐像と胎内仏鬼大師蔵が出開帳したという記録が残っているそうで、胎内仏である鬼大師様はそれ以来205年ぶりの公開となのだそう。
 慈恵大師坐像が僧形像であるのに対し、胎内仏は筋肉隆々で、口元が裂けたように口を開いている。小像ながら、まさに鬼気迫る表現。それでいて、ぎょろっと飛び出した両眼が印象的で、かわいらしくもあった。
 元三大師様は、鬼大師や角大師などのお姿でも表され、疫病退散のご利益があるとして、信仰を集めてきた。21世紀、コロナ禍でのご開帳が大変ありがたく感じられる。
 私が訪れた日は拝観待ちの列が長く、40分ほど待って、鬼大師様と対面できた時間は1分に満たない。それでも、しっかりと手を合わせてきた。コロナ禍でつらい思いをされている方々、さらに、先日は深大寺の近くで発生した電車内の事件で被害に遭われた方々の1日も早いご回復を祈った。穏やかな生活が守られますよう元三大師様にお願いした。

参考資料

資料i) 深大寺リーフレット

深大寺(東京都調布市)で元三大師胎内仏「鬼大師」205年ぶり特別公開(2021.11.3 - 11.21)
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資料ii) 毎日新聞記事(2021.11.5)205年ぶり「鬼大師」公開 調布・深大寺、疫病退散を祈願

mainichi.jp

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ご開帳開始後、11月5日に毎日新聞に掲載された鬼大師さまのお姿。ご尊顔の公開はおそらくこれが初めてかと

資料iii) 2019年1月の深大寺参拝ログ

毘沙門天像の拝観に伺ったら、元三大師像の写真が貼ってあって驚いたのでした。やはりこれは今回のご開帳を暗示していたのだろう(と勝手に思う私である)。
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