ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【多摩仏】深大寺の毘沙門天立像と元三大師坐像

拝観日=2019年1月19日
お寺=深大寺(東京都調布市
仏像=毘沙門天立像(平安、市指定文化財
その他=元三大師坐像のポスター

平安の毘沙門天立像

 調布の深大寺で、1月に公開される毘沙門天立像にお会いしてきました。
 深大寺といえば、国宝の白鳳仏、釈迦如来椅像が有名ですが、他にも調布市指定文化財の仏像が3躯おられます。本堂におられる本尊の宝冠阿弥陀如来坐像、元三大師坐像(秘仏)、そして、毘沙門天立像です。

 毘沙門天さまは、1月の間に限り、釈迦堂で、国宝の釈迦如来さまと並んで公開されています。調布の七福神としてのご開帳のようです。ガラス越しでしたが、よく拝めました。

 毘沙門天さまは40センチ強の小像ながら、大変素晴らしいお像でした!
 ずんぐりむっくりでありながら、動きのある立ち姿。お顔の表情も、くしゃっとして独特です。目つきも最高。深く窪んだ目から、遠くを睨みつけていました。
 堂内の説明に平安後期と書いてありましたが、胴回りの厚みからもう少し古風な感じもします。

 実は、この毘沙門天さまにお会いするのは初めてではありません。ずいぶん前に、釈迦堂の内部に入れる機会があり、その時にお会いしてるはずなのです。しかし、その際には、この毘沙門天さまの素晴らしさが分からなかったのだと思います。

 今回改めてお姿を拝し、白鳳仏とはまた別の素晴らしさがあると感じました!

 毘沙門天さまの画像を探したところ、こちらが見つかりました。調布市郷土博物館による資料です。少し見づらいですが、現地では撮影禁止でしたので、この写真でどうかご勘弁ください...(2019.01.21追記)
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 この資料にあるように、2011年に東京藝術大学大学院保存修復研究室(藪内佐斗司教授)で修復されたそうです。資料の左の写真が修復前、右手が修復後です。後世の修理で損なわれていた尊容の回復を目的に修復したと記載されていますが、見比べると確かに、勢いのあるお姿となったと思います! そして、私が以前お会いしたのは修復前だったこともわかりました。(2019.01.21追記)

 修復された貴重な平安仏です。1月以外にもご開帳の機会があればと思いました。



元三大師坐像

 今回、深大寺をお参りして、とても驚いたことがありました。それは、境内に貼られていたこのポスターです!
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 えええっー、と声を上げそうになりました。厳重なる秘仏であり、写真でさえ出回っていないと思っていたからです。
 この元三大師坐像は、比叡山から移された自刻像と伝わり、像高はなんと2メートル。上人の坐像としては異例な大きさです。
 元三大師さまの50年ごとのご遠忌に開帳されており、25年の半開帳が2009年に行われました。その時のポスターがこちらです。
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 2009年のポスターでは、お顔が完全に隠されています。これでは表情が分かりません。開帳期間も一週間のみ。つまりは、厳しいご開帳です。私は多忙にかまけて行けなかったのですが、後日、お参りした人の話を聞くと、皆さん口をそろえて「とんでもないお像だった。大きくてびっくりした」とおっしゃいました。
 こういう経緯から、よっぽど霊力の強い秘仏なのだろうと思っていた訳です。それゆえに、お顔やお姿をたやすく人目にさらさないというのが深大寺さまの方針なのだと思っていました。
 ですので、今回のポスターには驚きました。斜め後方からのショットながら、元三大師さまのお顔の表情が伺える写真が、境内に堂々と掲示されていたのですから! この方針変更は何なのでしょう。深大寺さまに何があったのでしょう。誰がいつ写真を撮られたのでしょう。
 そして、次のご開帳はいつなのでしょう!? 25年ごとだとすると、次は2034年…。かなり先です。その前に特別開帳があることを願うばかりです。