ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【京都】センサー照明を何度も点灯させて藤原定家の念持仏を拝む

 京都嵯峨の慈眼堂。藤原定家の念持仏だった木造千手観音立像(中院観音)を堂外から拝観できる。像高58.1cm。京都市指定文化財。「鎌倉時代初期における藤原風の美作」(市設置の看板の解説より)
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 お堂に近づくと一瞬だけ堂内の照明がつく。格子窓から覗き込むと、お優しい観音様のお姿が目の中に飛び込んできて、「ふわぁあぁー♡♡」となる。
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 照明はすぐに消えてしまうが、当方が動けばセンサーが反応し、またすぐに点灯してくれる。個人的に計測したところ、照明が点灯する時間は一回につき15秒。何度も何度もセンサーを作動させ、ゆっくりじっくり拝観させていただいた。センサーくん、照明さん、ありがとう。

 つまりは、由緒ある美しい観音像をいつでも誰でも拝観できるよう、地元の方々が工夫してくださっているということだ。本当にありがたい。そのお気持ちこそ美しいと思う。心より感謝申し上げる。

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「嵯峨巡拝の大衆の前に尊影を開扉し」に感謝

※ちなみに本像は2019年秋に京都市歴史資料館の企画展「京都市文化財Ⅱ」(公式サイトはこちら)に出展。この展覧会には行けなかったのだが、この時同時に出展されていた恋塚の十一面観音立像(地蔵盆の際にご開帳)も私は大好き♡なので、その旨申し添えたい。


【拝観案内】
慈眼堂中院観音
ここ嵯峨の中院に山荘を構えた藤原定家(1162-1241)の念持仏と伝わる。定家の没後、子の為家(1198-1275)の所蔵となり、さらに為家からこの地の人々に譲られたという。この地の豪農松屋善助の屋敷内の堂にまつられていたが、1822年、浜善が没落後に現在地に遷座。以来、町民により護持されている。
住所: 〒616-8428 京都府京都市右京区嵯峨二尊院門前北中院町13−1
地図:↓
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