京都市右京区・嵯峨薬師寺
地蔵菩薩半跏像
8月24日10-15時のみ一般公開
15時より法要(檀家のみ)、その後、送り火
嵯峨薬師寺は京都嵯峨の清凉寺の境内にある。清凉寺のように一般に公開されていないが、地蔵盆の日のみ誰でも入堂して拝観できる。美しい仏像を間近で拝める貴重な機会だ。お参りに来られるお檀家様に配慮しつつ、美仏を堪能した。ありがとうございました。
1) 地蔵菩薩半跏像
京都市の文化財サイトによると、「13世紀前半の保守的な仏師の手によると推定」される地蔵菩薩半跏像である。美しい!
小野篁の言い伝えがある。篁は六道珍皇寺の井戸から冥界に行き、嵯峨の井戸から現世に戻ったと伝わる超人である。復路の井戸があった福生寺の本尊がこの地蔵菩薩なのだという。亡者に替わって地獄の業火を受ける地蔵菩薩の姿を篁が刻み安置したと伝わる。明治初めに福生寺は薬師寺と合併。地蔵菩薩像と小野篁像が薬師寺に遷座された。
この地蔵菩薩像とその横の聖徳太子像が市の文化財。
写真左の立像が篁像。六道珍皇寺の篁像よりだいぶ小さいが、衣の袖が上に向いてる感じが似てるように思う。
地蔵盆のお供物はかぼちゃの舟に湯葉の帆。梅原猛は「お精霊さんを送る乗り物か」と書いた。事前にお寺に電話し、拝観の開始時間を伺ったところ、「地蔵様のお供えの準備が終わるのが10時過ぎ頃になるかと思うので、それ以降にどうぞ」とのこと。これだけ手がかかるものであれば、致し方ない。手作りのお供えは愛にあふれている。
2) 阿弥陀三尊
そして、堂内にまつられる阿弥陀三尊は、舟上弥陀三尊と呼ばれる。雲でなく、波に乗っているような台座が印象的。
阿弥陀如来さまは精悍なご尊顔。それでいて、規則正しい衣文が上品! 正面左の菩薩像は舟を漕ぐようなお姿。どちらも京都市文化財。
左手の菩薩像は、かつて存在した丈六阿弥陀如来像の飛天光背周辺部に、供養菩薩12躯の一つとして取り付けられていたものとされる。平安後期の光背の残欠として貴重な違例(京都市の文化財サイトより)