唐招提寺の古仏が江戸時代に埼玉に迎えられ、廃仏毀釈を乗り越えて現存します。量感があり、像高以上に大きく感じられました。威厳あるお釈迦さまを間近で拝ませていただきました。
(拝観日=2019年2月11日 )
明治初めに鷲宮神社別当寺から買い受けた
霊樹寺の釈迦如来坐像は、近くの鷲宮神社の別当寺、大乗院の本尊でした。明治初めに大乗院が取り壊しになり、売りに出されたところを霊樹寺の当時の住職(二十七世高峰宦道)が購入。これほどの仏様さまがよそに渡るのは忍びないと、代金30両のうち15両は、寺の田畑を売却するなどして工面したそうです。残りは琴寄村(現加須市大利根地区)の大地主小林官吉氏から借り受けました。
大変なご苦労をなさって、お仏像を守られたこと、頭の下がる思いです。
もとは唐招提寺に
さらに、注目すべきは、もとは奈良の唐招提寺におられたとされる点です。大乗院の再興に際し、隆光僧正によって唐招提寺の古仏が寄付された旨が、『大乗院由緒書』(宝永5年=1708)に記されています。隆光は徳川綱吉と桂昌院に仕えた、奈良出身の高僧。当時の鷲宮神社の力具合が伺えます。
(↑両サイドからの写真。ボケボケですみません)
後補は?
両腕と膝前が後補で、表面の金箔も後補のようです。住職は、金をはがしたいのだが、文化財指定があるので、勝手なことはできないのだとおっしゃっていました。
確かに、金をはがしたら、平安時代らしい尊顔が現れる可能性もあるように思えます。制作年代ももっとはっきりするかもしれません。
ついにお会いできました
手元にある青木忠雄『埼玉の仏像巡礼』(幹書房2011年)を開くと、ポストイットが貼ってあり、「お会いしたい!!」と自分のメモ書きがありました。
今回、仏像リンクのオフ会に参加し、拝顔の機会が得られました。大変ありがたくお礼申し上げます。本の写真もなかなかですが、間近でお会いすると格段に立派でした! 奈良の空気を感じました!!