この世は地獄だと言う人もいますが、幸せな場所も確かに存在します。
そんな幸せの場所をまた一つ発見しました。
高月駅から琵琶湖方面へ3.5キロ。西阿閉の集落の中に小さなお堂があります。そこにおまつりされているのがこちらのお像です。なんともにこやかな表情に、私の頬も緩みます。
こちらは聖観音と伝わりました。確かに、胸の前の腕の形は、蓮のつぼみを掲げる聖観音さまのものです。
しかし、宝冠の下にのぞく螺髪や通肩の衣から、当初は宝冠阿弥陀如来坐像だった可能性が高いと考えられています。
宝冠阿弥陀さまは、組んだ脚の上で定印を結んでいることが多いです。手の部分が傷んでしまったため、高月地方に多い観音さまに姿を改めた可能性があるそうです。衣文をよく見ると、定印を支えていたような形が残っています。
台座と光背は明らかに後補に見えますが、お寺をお守りする村人の廣部さんに伺ったところ、なんと骨董市で買ってきたのだそうです! 阿弥陀さまは村人の優しさがうれしくて、なお微笑んでおられるのかもしれません!!
廣部さんから阿弥陀さまとお堂のお話を伺っていると、心がぽかぽかと温かくなります。
聖観音に姿を変えたことも、骨董市で買った台座と光背も、すべて愛された証なのだと思います。
この阿弥陀さま(聖観音さま?)は、東京の藝大美術館に過去に二回おでましで、その時から大好きでした。今回、初めてお寺でお会いでき、もっともっと好きになりました。
つたない写真と文章ですが、この幸せが皆様に伝わりますように!