大阪の千日会のご開帳めぐり、大林寺の次は大阪市の如願寺と四天王寺をご紹介したい。
如願寺(大阪府大阪市平野区)
坂東武者の私(笑)にとって、かなり不思議な地名、喜連瓜破(キレウリワリ)。その駅の近くに如願寺はあった。喜連(キレ)は『古事記伝』にも登場する古い地名だそうで、如願寺は元々は聖徳太子が喜連寺として創建したのが始まりだという。一時は大伽藍を構えるもの、次第に堂宇は縮小。弘仁年間に弘法大師空海が再興して如願寺と改め、脇侍不動明王と毘沙門天を自作安置したと伝わる。
そんな由緒正しい古刹を訪ねるとなんと、ロシア人の副住職、慈真さまが迎えてくださった。日本語が堪能で、昔の日本人のように気配りされる、お優しい方だった。お話を伺うと、副住職はウラジオストク出身で、現地の大学で日本文化を学んだあと、大阪の大学に留学。ウラジオストクに戻って、日本語通訳などの仕事をしていたとき、ツアーガイドとして訪れた如願寺住職の娘さんと出会い、恋に落ちてしまい、仁和寺で修業し、現在に至るのだそうだ。ウラジオストクでは空海について研究したのだそう。人生とはどこまでが偶然で、どこからが必然なのか、不思議なものだ。義父である住職はウクライナカラーのマスクをされ、副住職の質問に優しく応じておられた。副住職の奥様はご本尊十一面観音様を版画で描き、参拝者に蓮茶をふるまう。如願寺ファミリーの温かさが伝わってきて、一瞬にしてファンになってしまった。
そんな如願寺の仏像をご紹介する。内陣に上げていただき、厨子の前まで進んで拝観させていただいた。
四天王寺の千日会
如願寺と合わせて、四天王寺も参拝。千日会の際、聖霊院にて、聖徳太子の本地仏救世観音で秘仏の「試みの観音」像がご開帳。8月9日と10日、9-17時。ご開帳の観音様は小さめで、外陣から拝観のためかなり距離があり、坐像のシルエットが伺えるのみだった。なぜか千日会のときに鬼大師のお札が授与される。列に並んで、ありがたく拝受した。せっかくなので、金堂と講堂も参拝。昭和の空襲後の再建ながら、聖徳太子の息遣いが感じられる空間は居心地がよい。
【参考資料】
1) 如願寺ホームページ 《公式》真言宗 如願寺 大阪市平野区
2) 大阪市文化財サイト 大阪市:木造地蔵菩薩立像 1躯(如願寺) (…>大阪市指定文化財>大阪市指定文化財(指定年度別))