2018年10月28日(日)
奈良県宇陀市大宇陀・慶恩寺(浄土宗鎮西派)
「菩薩と歩む夢行道~菩薩とはさとりをもとめて歩む人~」
- 1) 偶然知って急きょ予定変更して出かける!
- 2) 平成生まれの練供養は手作り!
- 3) なんと楽人は當麻寺練供養と同じ! だからシルクロードのテーマ曲なのか!?
- 4)「菩薩とはさとりをもとめて歩む人」
- 参拝案内
- 参考資料
1) 偶然知って急きょ予定変更して出かける!
奈良県宇陀市大宇陀の慶恩寺さまで、二十五菩薩の練供養が行われています。今回で第14回。つまりは平成生まれの新しい練供養です。
実は、この練供養のことは、開催される35時間前までまったく知りませんでした。滋賀の仏像をのんびりめぐろうと夜行バスに乗った途端に、Twitterを開いたら、「菩薩さまとお散歩」というイベントの告知記事が目に飛び込んで来たのです。
どのような練供養なのかほとんど知らないまま、急な予定変更をして、この練供養を見に行くことにしました。しかも、イベントの正式名は「菩薩と歩む夢行道」なのですが、夜行バスの中で頭がよく働かず、勝手に「菩薩さまとお散歩」と脳内変換したままで…。愛知県愛西市の練供養のように、菩薩さまとお散歩できるといいな…。そんな思いで出かけました。
2) 平成生まれの練供養は手作り!
10月28日、二十五菩薩さまは朝10時に慶恩寺を出発。一時間ほどかけてのんびりと練り歩きました。練供養のルートは宇陀松山城の城下町、重要伝統的建造物群保存地区にある、静かでのどかな通りでした。
(↑左の地図が広域図。東の山上にお城があり、その下に城下町が広がります。右の写真で手書きしたルートを菩薩さまは練り歩きました)
上記のような経緯で出かけましたので、事前の情報はほとんどつかんでおりませんでした。 "手作り"と聞きましたし、「二十五菩薩」とか「来迎会」という言葉も見あたらなかったので、宗教行事というよりは、地域興し的なイベントなのかとも思っていました。(なにせ私の頭の中では、「菩薩さまとお散歩」というイベント名になっていたので、正式名称に「行道」という言葉が入っているという事実さえ欠落していたのです…)
しかし、実際に間近で見ると、のどかなように見えて、実は強い思いとかなりの労力をかけた大変真面目な行事だとわかりました。
菩薩面はなんと、厚紙に色紙を貼った手作りのものです。兵庫県小野市の浄土寺に快慶の手による見事な行道面が残っていますが、それとは真逆。菩薩の着物も持物もすべて、檀家さまらによる手作りなのだそうです。
しかし、菩薩面も光背も、近くで拝見すると、写真の印象よりしっかりしていて、安定していました。菩薩さまの後頭部を布で包み、菩薩らしさを出しているところなどに、菩薩さまへの愛も感じます。どこか他のお寺から練供養のノウハウを得ているのではないでしょうか。持物は寄せ集め感があるとはいえ、きっちり二十五の菩薩さまがお揃いになるのは簡単なことではないと思います。
3) なんと楽人は當麻寺練供養と同じ! だからシルクロードのテーマ曲なのか!?
手作り感満載の練供養ですが、楽人も菩薩さまの列に加わって演奏しておりまして、この生演奏がかなり本格的でした。後で知ったのですが、當麻寺の練供養でも演奏されている「奈良葛城楽所雅遊会」の方々なのだそうです!
さらに、雅楽の演奏に加えて、シルクロードのテーマ曲も流れていました。行道の列の先頭付近と末尾付近で、お坊さんがカセットデッキを抱えおり、そこからテーマ曲を流しているのには驚きました。
(↑はにかんだ笑顔がまぶしい)
練供養ファンならご存知かと思いますが、シルクロードのテーマ曲は當麻寺の練供養の後半で流れる曲です。私はこの曲を聴くと、練供養の列が娑婆堂から本堂へと戻っていくシーンを思い出してしまいます。曲がかかった途端に条件反射的に思い出してしまうのです。
ですので、大宇陀で、練供養の冒頭からシルクロードがかかっているのを聞いた時には、「えー、もう終わっちゃうのー」と反射的に思ってしまいました。
大宇陀の行道の特異なところは、シルクロードのテーマ曲が最初から最後まで、終始流れていたことです。お坊さんがカセットデッキを持って歩くのは、なかなかシュールでした。一曲終わると、お坊さんがカセットデッキを操作して、また最初からかけ直すのです。そもそもこういうカセットデッキ自体、最近見かけません! こういう細かいこだわりに、担い手の心意気が見えました! とにかく愛が伝わってきます!
この雅楽とシルクロードの競演は、桃太郎のもとさんのTwitterでどうぞ!
宇陀 練り供養 菩薩と歩む夢行道 喜太郎のシルクロードのテーマ流れてます^_^ #練供養 pic.twitter.com/w8VIepP7ho
— 桃太郎のもと (@momotaromoto) 2018年10月28日
4)「菩薩とはさとりをもとめて歩む人」
練供養の後半で、ふと、のぼりを見ると、そこには「菩薩と歩む夢行道~菩薩とはさとりをもとめて歩む人~」と書いてありました。
よい言葉です。じーんときました。
最後に慶恩寺さんのお堂の前で記念撮影がありました。青空のもと、浄土感たっぷりの写真が撮れたことでしょう。
この新しい行道が未来へ続くことを願っています。
参考資料
○NHK奈良のニュース(※テキスト部分を以下に貼ります。公開されたニュース映像は期間限定ですので)
菩薩(ぼさつ)のお面をかぶった人たちが古い町並みが残る地域を練り歩く行事が奈良県宇陀市で行われました。
この行事は、宇陀市にある慶恩寺や檀家が菩薩の思いやりの心を広めようと始めたもので、ことしで14回目となります。
28日は、金色の菩薩のお面をかぶって菩薩にふんした25人やその付き添いなどあわせておよそ100人が寺を出発し、古い町並みが残る宇陀松山地区を1時間ほどかけてゆっくりと練り歩きました。
菩薩のお面は、寺の檀家の人たちが厚紙などで作ったもので、色鮮やかな衣装も手作りだということです。
行列にはお稚児さんの衣装を着た子どもたちも参加し、訪れた人たちは写真を撮ったり、手を合わせたりしていました。
市内から訪れた20代の女性は「初めて見に来ましたが、手作り感があって、すばらしい行事だと思います」と話していました。
○奈良葛城楽所雅遊会のサイト
gayukai.net