ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【2019年お正月ご開帳仏まとめ 1月3日編】神奈川県大磯町と伊勢原市で神像と仏像を拝む

 2019年1月3日のまとめです。湘南へ行ってきました。晴天で、富士山がきれいでした!
 朝、大磯町の二宮駅を降りると、すぐそばの道で箱根駅伝が開催されており、はからずもランナーを応援してしまいました。真摯に前を見て走る選手の姿が尊かったです。

 以下の3か寺と1社をお参りしました。

神奈川県大磯町・六所神社(相模國総社)

神像2躯が1月3日のみのご開帳 いずれも県指定文化財
【神奈川】相模国総社六所神社(大磯町)の神像を拝む - ぶつぞうな日々 part III

神奈川県大磯町・王福寺の薬師如来坐像

重要文化財、像高131.2センチ、榧の一木造り。平安時代
こちらは正月開帳ではなく、雨天時を除き予約拝観が可能。
【神奈川】大磯町・王福寺の薬師如来坐像~平安のカヤの一木造り~ - ぶつぞうな日々 part III

神奈川県伊勢原市・浄発願寺

 木喰僧、弾誓上人が開山で、天台宗弾誓派。丈六の阿弥陀三尊がおられる。予約なしで拝観できる
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本尊 阿弥陀如来坐像 約200センチ
脇侍 観世音菩薩立像・勢至菩薩立像 約165センチ
1686 年、第四世空誉弾阿上人と弟子の空幻明阿上人の合作

 山の中の落ち着くお寺。今回が3~4回目のお参りだが、京都大原の古知谷阿弥陀寺をお参りしてからは初めてだ。古知谷で弾誓上人さまのお像をお参りしたことを思い出し、胸があつくなった。
 弾誓上人さまの活動は仏教の主流とは離れた、独特なものだと思う。浄発願寺も山岳修行の場であると同時に、殺人放火を除く罪人を受け入れる駆け込み寺だったそうで、かなり特殊なお寺だったと想像する。
 お寺に手伝いにきている男性と少し話した。浄発願寺はもともと1キロほど上流の場所にあったが、昭和13年の台風による山津波で壊滅状態となり、現在の場所に移ったそうだ。かつての寺跡は奥院とされ、弾誓上人のお像がまつられているそうだ。山道なので、また日を改めて、奥院をお参りしたい。弾誓上人についてもう少し深く学びたいのだが、日々の忙しさにかまけてなかなか機会が作れずにいる。なんとかできないのものか。

神奈川県伊勢原市日向薬師

 ご本尊は平安時代の鉈彫りの薬師三尊さま。
私はこの鉈彫り三尊さまが好きで好きでたまらない。ご開扉はお正月三が日と初薬師1月8日と4月15日の年5回。
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(写真は2006年「仏像 一木にこめられた祈り」展図録より。両脇侍像は私が合成)
 カツラの一木造り。内ぐりなし。
 薬師如来116.6センチ、左脇侍123.3センチ、右脇侍123.9センチ 平安時代10世紀
 日向薬師の薬師三尊は、彫り出される前、木の中でも、あのお姿でおられたのではないか。そんな風に感じてしまう。一番好きな鉈彫り仏なのであります。
 両脇侍は全身に鉈彫りによるノミ目が入るのに対し、薬師如来のほうが鉈彫りは抑え気味であるが、これは尊格の違いを示そうとしたと考えられている。薬師如来螺髪を彫りだし、顔や胸は滑らかに仕上げている。
 実は2018年は鉈彫り仏にお会いする機会がなく、個人的に深刻な鉈彫り仏不足に苦しんでいたのだが、おかげさまで瞬時に解消できた。