「文化財よ、永遠に」東京国立博物館
会期 2019年10月1日(火) ~12月1日(日)
会場 東京国立博物館 本館特別4室・特別5室
「文化財よ、永遠に」展は、住友財団の助成で修復された文化財を紹介する展覧会。国内4館で開催され、東京国立博物館の会場では、日本各地の古い仏像が集められた。優れた地方仏が多く、魅了された。注目すべきは、文化財の修復がテーマであるため、各仏像の修復を担当した修復所の名前も明記された点だと思う。修復の過程も展示され、大変勉強になった。仏像修復に携われた方々に敬意と感謝を申し上げたい。
特に、以下の仏像に魅了された。
三佛寺 阿弥陀如来立像
山形向居薬師堂 薬師如来坐像
海住山寺 薬師如来坐像
高知・北寺 薬師如来坐像
鎌倉常楽寺 阿弥陀三尊
茨城真壁町山口地区 虚空蔵菩薩坐像
岩手・正音寺の七仏薬師
三佛寺の阿弥陀如来立像は頭部が大きくて体部が細い。その不思議なお姿に神聖さを感じた。その前に立ち尽くしたり、しゃがみこんで見上げたりを繰り返した。普段秘仏となっているこの神聖なお像をこんなに間近で拝んでよいのだろうか。
そして、この阿弥陀如来立像と背中合わせに、鎌倉常楽寺の阿弥陀三尊が安置されていた。鎌倉らしい美しさに息をのんだ。北条泰時の臨終仏だという。
鳥取三佛寺と鎌倉常楽寺の組合せは、通常であればありえないだろう。展覧会場ならではの(おそらく)偶然の配置に強く惹かれた。
さらに、常楽寺の阿弥陀三尊は、埼玉県加須市・保寧寺の阿弥陀三尊と向い合せに展示されていた。常楽寺と保寧寺の阿弥陀三尊はどちらも鎌倉時代の慶派の作と考えられるが、ムチムチした保寧寺像と、繊細で流麗な常楽寺像は、対比されるべきだろう。
展覧会入り口、最初の岩手・正音寺の七仏薬師には思わず合掌した。中尊は、木目に沿うかのようにお顔が斜めになっている。七仏がお並びのところを拝めてありがたかった。 山形向居薬師堂の薬師如来坐像と茨城県真壁町山口地区の虚空蔵菩薩坐像にも心を大きく動され、しばらくその前に立ち尽くした。どちらも修理の過程が図録に詳しく載っており、興味深く拝読した。
週末に夜間開館を行ってくださったこともあり、私は合計4回ほど足を運んだ。地方の平安仏が、世間であくせく生きる私の汚れを癒し、緊張をほどいてくれたように思う。素晴らしい展覧会だったのに、割といつもすいていた。優れた地方仏がこれほど集まる展覧会はそうないと思うので、その点だけが残念だった。
最後にもう一度申し上げたい。仏像の修復と維持に関わる全ての皆様へ、こころからありがとうございます。
※参考サイト
上記の写真(冒頭の博物館外観写真を除く)は、以下のサイト(東京国立博物館ブログ)よりお借りしました。
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※おまけ
1) この展覧会終了後、2020年1月に鎌倉市大船・常楽寺の阿弥陀三尊を参拝した記録はこちらから。もうこの阿弥陀三尊ほんとうに好きです...!
butsuzodiary.hateblo.jp
2) 埼玉の保寧寺の参拝記録はこちらから。
butsuzodiary.hateblo.jp