ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

【展覧会】ついに半蔵門ミュージアムに行ってきました!

半蔵門ミュージアムとは

 今年の4月にオープンした半蔵門ミュージアムについに行ってきた。
 運慶の大日如来坐像をニューヨークのオークションで落札した宗教法人真如苑が、運慶仏を展示公開するための施設である。
 運慶仏を落札したとき、真如苑は、1) 文化財指定に協力することと、2) 一般公開をすることの二つを公言していたと私は記憶する。
 文化財指定はすぐに実現し、しばらく東京国立博物館に預けられていた。落札当初は、武蔵村山日産自動車工場の跡地に真如苑の施設を造って安置するという話もあったが、最終的には、都心の半蔵門駅近くのビルを改修してミュージアムとし、そこに展示されることとなった。落札当初の公約は見事に実現した。
 ミュージアムの改修設計は平等院鳳翔ミュージアムかんなみ仏の里美術館を手がけた栗生明さん。初代館長は仏像研究の大家、水野敬三郎さん。ビッグネームが揃った。淡い色合いの大理石を使った室内は落ち着いており、常駐する職員の数や対応も高級ホテル並みだった。新興宗教団体の財務状況は想像の域を越えているようだ。だが、経済事情について中途半端な意見を述べるよりも、このような形で運慶仏を公開してくれたことに感謝と敬意を伝えたい。布教の色合いは薄く、誰もが安心して足を運べる環境だと思う。

 運慶の大日如来については、東京国立博物館で何度もお会いしているので、初めてお目にかかった以下の仏像と仏画について、少しだけ書かせていただきたい。

会津の法用寺の梵王像


 仏像で驚いたのは、福島県会津美里町・法用寺の三十三応現身の一つのされる梵王像が間近で拝めたことである。
 運慶仏と不動明王坐像は公式サイトで知っていたが、このお像のことはまったくのノーマークだった。
 前に法用寺をお参りしたときは、堂外からの拝観で、仏像一つ一つのお姿までよく見えなかった記憶がある。半蔵門ミュージアムでは、三十三応現身のうちの一体のみだが、ガラスケースなしで、間近で拝める。目のつり上がり具合やお顔の木目など、眺めているだけで喜びに満たされる。
 半蔵門ミュージアムはどのような経緯でこのお像を所有したのだろう。
 会津では、法用寺に加えて、西会津町の鳥追観音にも三十三応現身が伝えられているそうだ。三十三のすべてがお揃いではないそうで、焼失したのか、どこかに流出したのか不明なのだそうだ。さらなる解明が進むことを願う。

一尊天得如来


 半蔵門ミュージアムの企画展示では、数多くの仏画が展示されていた。その中に、融通念仏宗を開いた良念が感得したとされる阿弥陀来迎図、一尊天得如来像もあった。融通念仏宗大本山、大阪の大念仏寺では、毎年5月に二十五菩薩練供養が行われている。中将姫の極楽往生を描いた奈良の當麻寺の二十五菩薩練供養とは異なり、大念仏寺の練供養では、ご本尊である一尊天得如来像の巻物が大切に運ばれる。その時の様子を思い出した。大念仏寺の練供養のときには、この仏画の内容までよく見えないので、一尊天得如来像をじっくりと間近で拝めたのは実は今回が初めて。大変ありがたい。

その他の仏画


 その他、仏画青面金剛像は、少し斜め目線で、迫力満点の表情が印象的だった。真如苑真言密教に近いと思うのだが、上記の一尊天得如来以外にも、清海曼荼羅図など、浄土系の仏画もあり、阿弥陀来迎ファンである私を癒してくれた。

 上記のいずれも写真がないのが残念。画像検索しても出てこなかったし、館内はもちろん撮影禁止だった。半蔵門ミュージアムさんのサイトに公式写真を上げていただけるとうれしい。

半蔵門ミュージアムは月曜と火曜が休館日なので、要注意! 入館料はなんと無料。