目黒の五百羅漢寺で、「らかん仏教講座・近代彫刻としての仏像」を聴講。
講師の藤井明先生は、2008年に東京小平市の平櫛田中美術館で開催された「仏像インスピレーション」(注※)を企画された学芸員。この展覧会、私は駅のポスターで知って心惹かれ、観に行った記憶があります。日本の近代彫刻の中に仏像のDNAがあることを教えてくれる内容でした。大変稀少で興味深い展覧会でした。
それから9年。藤井先生のお話を伺おうと目黒まで出かけてきました。
レクチャーは明治以降の彫刻家を五つのグループに分けて、仏像との関わりを分析する内容でした。
第1グループの筆頭は、元々仏師だった高村光雲。1893年、シカゴ万博に高村光雲が老猿を竹内久一が伎芸天を出展。光雲が絶賛されたのに対し、久一の仏像はまったく評価されなかった。そのトラウマのせいで、光雲などは仏像とそれ以外の彫刻を分かて考え、仏像は制作するのだが、美術として展覧会には出展しなくなったという説明でした。
第2グループの平櫛田中は日本と西洋の美術で相容れないと考えていたのに対し、第3グループの高村光太郎や佐藤朝山などは、西洋美術を学んだあと、日本の古来の仏像を見直すように。和辻哲郎の『古寺巡礼』が大ヒットとなり、仏像を美術として見るようになったことも影響したという説明でした。
…と、書いていますが、明治以降の彫刻を理解するのは難しいです。聴講したことでなおさら疑問は増えました。古い仏像についても疑問だらけを抱えて追いかけているというのに…!
この「らかん仏教文化講座」はこの後、仏教と映画というテーマも予定しているそうです。次回の「写真に残された仏像」というテーマも気になります!
※2008年の展覧会「仏像インスピレーション」につきましては、ぶつぞうな日々part IIに記事がありますので、よろしければご覧ください(まだ若い頃のブログです♡ しかも写真がガラケーだわw)。またこういう展覧会があるとうれしいです。講義だけだと分かりにくいので、実際の作品も観たいです!
hiyodori-art2.cocolog-nifty.com