ぶつぞうな日々 part III

大好きな仏像への思いを綴ります。知れば知るほど分からないことが増え、ますます仏像に魅了されていきます。

喜多方・願成寺の来迎念仏行道~念仏を唱えあう~

会津喜多方市の願成寺(会津大仏)では、10月の御十夜会と大晦日に二十五菩薩来迎の行道(ぎょうどう)が行われます。お寺では、来迎念仏行道と呼んでおられました。

御十夜会の3日目(今年は10月8日)に行われる行道に参列させていただきました。

会津大仏さまの練供養は、他のお寺の来迎会(らいごうえ)とは大きく異なるものでした。
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一般的に、二十五菩薩来迎の練供養は、阿弥陀如来と二十五の菩薩さまが念仏者をお迎えに来てくださる瞬間を演じるもので、きらびやかなものです。雅楽や和讃の響く中、菩薩面を被り美しい装束を身に付けた菩薩さまが練り歩きます。『往生要集』を著した恵心僧都源信が始めたとされ、江戸時代には娯楽要素も加味され、各地に広まったと聞いています。

一方、喜多方の願成寺さまの来迎会は、一見するとかなり地味です。しかし、参加してみると、参列者みんながひたすらにお念仏を唱える(というか、皆が唱えあう)練供養で、じわじわと感動が沸き起こるものでした。

念仏行道の流れは以下のとおりです。

1)菩薩になられる人が着物を着て、庫裡から出てこられる。このときはまだ菩薩面は付けない。副住職のほら貝に先導され、菩薩さま、付き添い人、参列者が阿弥陀堂へ。(私は少額をおさめて、法要に参列させていただきました)
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2) 阿弥陀堂では、付き添い人が菩薩面を選び、相方に着けてあげる。この日菩薩さまになられたのは5人。

3) 菩薩さまと付き添い人が阿弥陀三尊の周りを回りながら、般若心経をお唱えする。3周した後、堂外へ。練り歩きながら、ひたすらお念仏。
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4) 行道の列は本堂の前を通って、山門をくぐり、鐘楼へ。菩薩さま、付き添い人、参列者の順に鐘をつき、そのたびに十念を唱える。一人一人が皆のために祈る感じがとても素敵。
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5) 本堂前に戻って、記念撮影。菩薩さまも一休み。
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6) 念仏を唱えながら、阿弥陀堂に戻り、祈願法要。一人一人の名前と願い事が読み上げられ、そのたびに皆で十念をお唱え。


華やかな雅楽や装束も和讃なく、ただひたすらお念仏を唱えながら練り歩く…。
来迎会というより、まさに「念仏行道」なのだと思いました。
副住職と寺庭さまの優しく適切なお導きに感謝します。

阿弥陀三尊の写真は願成寺のホームページより。


【案内】
叶山三宝院 願成寺 
https://aizudaibutsu.com
〒966-0931 福島県喜多方市上三宮町上三宮字籬山833
JR喜多方駅より6キロ
喜多方駅前の「民芸あくたがわ」にレンタサイクルあり。500円(17時までに要返却)
地図 
https://goo.gl/maps/hp6Jqn65cxD2